2012 Fiscal Year Annual Research Report
明治中期「理科」・「科学」教育の実相・意義・源流の解明と今日的価値の新展開
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23650503
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小林 昭三 新潟大学, 人文社会・教育科学系, フェロー (10018822)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
興治 文子 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (60409050)
五十嵐 尤二 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (50151262)
矢田 俊文 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (40200521)
藤林 紀枝 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (20238603)
岡野 勉 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (30233357)
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Keywords | 明治中期の科学教育史 / 高等小学校生徒の授業筆記 / 物理筆記 / 化学筆記 / 理科筆記 / 世界レベルの科学教育 / 高等小学校試験問題・答案 / 科学教育の現代的再構成 |
Research Abstract |
新潟県村上市木村家文書・新潟各地の高等小学校の生徒筆記の探索・分析・解明を基礎・基本にして,さらに,全国各地(静岡,茨城,福島,宮城,大阪,山口,埼玉,群馬、栃木,千葉,神奈川,福井等)での探索・発見・新展開を実現した。即ち,明治20~30年代の高等小学校生徒や師範学校学生の理科筆記や物理筆記他を各地で相次いで発見て,その豊富で多様な授業筆記・問題答案・教育関連文書を検討分析を進め,明治中期の教師が生徒にどのような科学教育の授業を行ったか、実際に使われた教科書はどのようなものか,教科書の活用実態はどうだったか等を解き明かした。これらの新事実から明治中期には理科教育の開始は科学教育の終焉とする従来の見解とは著しく異なる新知見を確証した。 明治24年から27年に書かれた新潟県与板高等小学校生徒の物理学筆記の分析により「力学,物質の性質(個体・液体・気体),熱・音・光・電磁気分野等」の内容は数種類の教科書の内容を選び抜いて教授した教育内容・実態であることを解明した.当時の教師が多様な教科書から取捨選択し実験を工夫して教えた高いレベルの教育内容を確証できた。日本人による日本の風土に根ざした日本型科学教育である,中川謙二郎の『訓蒙化学』や後藤牧太らの『小学校生徒用物理書』は日本各地で活用されていた。小学校生徒用物理書使用例では,群馬や新潟与板高等小学校の永井玄真に続く決定的な新証拠を得た。埼玉騎西高等小学校生徒・平野政一郎の明治20年代の理学筆記(物理学筆記),埼玉高等小学校3年生・藤城時郎の明治22年物理学筆記,山口師範女生徒・阿曽沼ます(明治20-21物理学筆記)」等では,文と実験図の細部に至る一致が確証できた。こうした物理授業の例を「群馬,新潟,埼玉,福島」等で確証した。この成果をまとめ,国内・国外の学会・研究会で発表し,今日的価値ある科学教育の再構成・新展開を推進してきた。
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Research Products
(27 results)