2013 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子組換え技術の社会的利用に対する高校生の態度と影響因子に関する調査研究
Project/Area Number |
23650505
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
丹沢 哲郎 静岡大学, 教育学部, 教授 (60272142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石山 ゐづ美 帝京学園短期大学, 保育科, 准教授 (70541704)
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Keywords | 科学と社会 / 遺伝子組換え / 高校生物 / 社会的受容 |
Research Abstract |
本研究の目的は、①遺伝子組換え技術の社会的利用に関して、高校生がいかなる認識・態度を有しているかを明らかにし、②その意思決定の際、いかなる因子が高校生に影響しているかを明らかにすることによって、③今後の高校生物教育の内容や指導方法について提言を行うことにある。 平成23年度には、本研究に関する先行研究の収集と分析を行い、翌24年度には高校生への調査問題の作成と実施をした。これらを受け、本年度は収集データの分析と成果発表を行うことを目的として研究を実施した。 調査の結果、先行研究として一般市民に実施された同様の調査結果に比較して、高校生の遺伝学に関する知識レベルは一般的に高かった。また遺伝学研究の医療分野への応用に関しては、約75%の高校生が研究促進を支持したが、残りの約25%は「分からない」という態度保留の結果となった。このように大きく態度が二分された結果は、一般市民に対する先行研究結果と類似していた。 一方、遺伝学に関する知識レベルと、遺伝学の社会的応用に対する態度との間に、高校生では相関を見ることができなかった。この結果は一般市民に対する調査結果と大きく異なるものであった。しかしながら、科学技術一般への関心と、技術革新によってもたらされる生産物を使用したいという思いは、上記態度と相関していた。 以上より、科学技術への関心という「情意的」な側面は、特に医療に応用される遺伝学研究促進への態度と高い相関があったが、遺伝学知識や理解といった「認知的」な側面は、これと相関が見られなかった。したがって、遺伝学について多くのことを知っていればその社会的応用が支持されるわけでは決してなく、遺伝学の社会的応用を高校生物で内容として直接扱うことによって、こういった科学の社会的応用への態度形成が促進されると考えられる。
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