2011 Fiscal Year Research-status Report
数学的概念の理解を促すための次世代数理情報教育の研究
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23650507
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高橋 真 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (50154860)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 数理情報教育 / ビジュアルプログラミング |
Research Abstract |
本研究の目的は学習者が自ら仮想空間内で概念理解のための教材を自ら作成して学ぶことが可能となるプラットフォームの開発を行い数学の基礎概念を理解するための実験プログラムのシナリオ作成を行うことである。研究を開始するにあたり,研究実施計画にも記載したように第1段階としてスマートデバイス等でタイルプログラミングを行うための環境としてiOSあるいはAndroid OS上でSqueakEtoysを実行できる環境の開発を行った。iOSでは、公開されているソースプログラムを元に日本語対応にしさらにiPad上での操作をより簡単にできるようにカスタマイズを行った。これにより一般教室においても容易にiPad上でSqueakEtoysを利用した教育ができるようになった。次にAndroid OS上でのSqueakEtoysの実行環境の整備に着手したが技術的な問題があり本年度は完成できなかった。このため、Webブラウザー上で実行できる他のビジュアルプログラミング環境の調査を行った。研究の第2段階では,数学的概念を理解を促すためのシナリオの作成の対象となる分野の選定に着手した。計算論の分野でのシナリオの作成の他に、従来の教育ではプログラミング初心者に具体的に例を提示し理解させることが困難であるモデル検証分野におけるシナリオについて考察した。Etoysでは並行性の表現に問題があるため、この点を解消するためにEtoysと同様のビジュアルプログラミング環境であるBYOBを利用したシナリオの作成に着手した。なお,本研究で開発したシナリオは通常のPC等でも実行できるため広く応用が可能である。研究実施計画では第3段階としてこれらのシナリオの有効性を本年度に検証する予定であったが、第1段階に予定より時間がかかったため次年度に行うことにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実施計画の第3段階として,数学の基礎概念を理解するために作成したシナリオの効果検証することになっていたが,研究実施計画の第1段階で行ったiOS上で動作する日本語対応のEtoysの作成に予定より時間がかかり,またAndroid上で動作するEtoysの開発がうまくできなかったためにさらに予定外に時間をとられてしまった。そのためシナリオの作成に入る時期が当初の予定より2ヶ月ほど遅れたため,作成したシナリオの検証が本年度内に実行できず,当初の予定より研究の目的の達成度としてはやや遅れることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度において計算論およびモデル検証論を大学の学部段階で教えるための導入部分のシナリオを作成した。今後はこれをもとにして本年度遂行できなかったシナリオの検証作業を進めその評価結果をもとにしてシナリオを講義で実践しモデル検証や情報教育の研究者の協力を得ながらシナリオの改善に取り組む。受講学生の数学の理解度の差により,結果を検証できない場合が考えられる。その場合は比較的学生の数学への理解度に差がない他コースの学生の協力を得て検証を行う。シナリオの有効性が認められない場合はその原因を調査しシナリオの改善を行う。また,数学教育学会や関連の研究会に参加し,作成したシナリオの改善や他の分野でのシナリオ作成のための情報を収集する。さらに、Webブラウザーで動作するビジュアルプログラミング環境を調査し、その利活用を研究する。これらは通常のスマートデバイスからも利用できるため、これらの機器でも利用できるシナリオが作成できれば、その意義は大きい。本研究で得られた結果を取りまとめ、数学教育学会や関連の研究会において成果の発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
収支状況報告書に次年度使用額として136,287円が計上されているが,当該研究費が生じた理由としては,研究計画の第3段階であるシナリオの検証作業が行えなかったためこのために計上していた人件費・謝金の執行ができなかったためである。次年度は次年度請求研究費500,000円にこの136,287円を含めた額を研究費として使用する。次年度の研究費は次のように使用する計画である。まず本年度行えなかったシナリオの検証作業のために人件費・謝金を使用する。これはシナリオの改善を行うたびに検証する必要があるため随時使用する。次にシナリオの改善のためにモデル検証や数理情報教育の専門家との研究打ち合わせのために旅費を使用する。また,学会や研究会における情報の収集と本研究で得られた成果発表のために旅費を使用する。本年度はWindowsタブレットでの検証ができなかったため次年度に購入して検証を行う。
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