2012 Fiscal Year Research-status Report
学生の習熟段階に応じたPBL視点を組み込んだ双方向実験ノート作成指導に関する研究
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23650521
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Research Institution | Kurume National College of Technology |
Principal Investigator |
越地 尚宏 久留米工業高等専門学校, 電気電子工学科, 教授 (90234749)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬越 幹男 久留米工業高等専門学校, 材料工学科, 教授 (10091357)
辻 豊 久留米工業高等専門学校, 生物応用化学科, 教授 (40197687)
大崎 邦倫 久留米工業高等専門学校, 電気電子工学科, 准教授 (40280482)
谷 太郎 久留米工業高等専門学校, 一般科目理科, 准教授 (40421359)
森 保仁 佐世保工業高等専門学校, 一般科目, 准教授 (80243898)
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Keywords | 実験ノート / 電子ノート / 双方向性 / PBL手法 / SNS |
Research Abstract |
本研究の目的は高専・大学等の実験科目において、従来注目されなかった実験ノートテイキングに着目し、その指導の方法論や指導論、および評価法を、現在急速に発達したIT化など多様な手法を取り入れながら探査することである。今までは学生のデーター記録でしかなかった実験ノートに、指導者-学生間および学生同士での双方向性を持たせることによりノートの記録的側面でだけではなく、創造性を持つ知的ツールの役割を持たせる事により理系学生にとって有効な教育を行う手法を探査する研究である。ただし有効性の検証と同時に、実験科目における実験ノートという性質上、その継続的運用のために、学生および指導者双方が過大な負荷を避けなければならないことも今年度の当研究の重要な着眼点の一つである。 今年度は昨年度行った『工業高専3年生に対する基礎科目である「応用物理実験」における実験ノートの試作およびその運用研究』に対し、高専での最終年度である5年生に対する応用および実践実験科目である「電子実験」および「通信実験」に対して実験ノートの運用を行った。この学年は昨年の3年生に比し、学生のスキル及び実験のレベルも上がっており、実験ノート指導の位置づけも変わる。特に今回は彼らが一年後、企業等で実際にチームを作り、作業や装置運用を行っていくことに注目し、同一実験を行うチーム内での双方向性に着目し「チーム内ノート」を採用、その有効性を検証した。これは同一チーム内で共通のノートを作り、お互いが意見を書き込んだり、データーを共有するノートである。持ち回りで担当したノート記載者にとっては、今までの学校生活であまり経験したことのない「他の人が見るためのノート作り」という新たな経験であり、当初予想していた以上に学生は真剣に取り組み、結果「共通ノート作成」という双方向的実験ノート指導に関する有効かつ新たな切り口を見いだすことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前述の「共通ノート」を作成する過程において、「チーム内における情報や意見、考え等の共有と有効利用」をいかに行っていくか、そしてそれを本研究の大前提である「過度な負荷をかけない」こととバランスをどのようにとっていくかに苦心した。 その有効な手段として最終的に今回見いだすことができた一つの解決策が、積極的なIT化である。IT化の第一歩として試みたことは様々な情報のデジタル化であり、学生は情報にいつでもアクセスできる事が可能になった。そしてされにそれを一歩踏み込んで考えたとき、近年爆発的に発展したSNSシステムなどのクラウドコンピューティングを積極的に運用することにより、データーだけでなく「考え」や「意見」を浮かんだその時点で共有化できる「双方向性」と「瞬時性」を積極的に活用できる可能性の芽を最終的につかむことができた。またそのことを検証すべく、研究計画をH25年度まで延長申請した。
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Strategy for Future Research Activity |
H23年度は基礎科目である「応用物理実験」に、H24年度は応用・実践科目である「電子実験」「通信実験」において実験ノートを運用し、一定の成果を得た。 そこで今年度は研究のスパイラルアップとして、再度の3年生の「応用物理実験」および4年生対象の実験科目である、大型装置の運用および特性を測定する「機器実験」に実験ノートの適用を行う。その際には今までの得られた知見を組み込んでさらなる高度なノート作成や運用手法の確立を行う。特に前述の昨年度に見いだしたSNSを含むクラウドコンピューティングの積極的活用やIT化について、様々な試みをおこない、その可能性(含:問題点)の探査を行う。 またこれらの運用実態も含めた全国的なアンケート調査を行い、全国的な実態の調査や積極的な事例の調査を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)様々な学年に対して実験ノート作成指導を行い、その課題や問題点を探査する。その際は学年の習熟度に着目し、習熟度に応じた指導体制とその有効性の検証を行う。 (2)前述のクラウドコンピューティングやIT機器の積極的利用という観点も含めた実験ノート運用に関して、さらには学生実験に関する問題点について全国的なアンケート調査を行う。 (3)SNSを含めたクラウドコンピューティングの採用やIT化を積極的に行い、その有効性および問題点の探査を行う。 以上(1)~(3)において、ノートの作成、IT化に伴うシステム構築とその運用、アンケート調査などに研究費を使用する。研究で得られた知見は積極的に様々な手法(WEB、印刷物、講習会)等で広く内外に公開し、さらなる情報の収集や知見の集約および活動の輪を広げることを計画している。
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