2011 Fiscal Year Research-status Report
拡張現実感を用いて学習者の内的状態を可視化する同期型遠隔教育システムの開発
Project/Area Number |
23650530
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
西原 明法 東京工業大学, 社会理工学研究科, 教授 (90114884)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 遠隔講義 / 遠隔教育 / 教員支援 / 拡張現実感 |
Research Abstract |
平成23年度は,主に,同期型遠隔教育環境における学習者の内的状態を推定するアルゴリズムの開発に注力した.学習の過程において,指導者は,随時,学習者の内的な学習状態を把握し,その状態に即した学習内容・活動を提示すべきである.伝統的な対面教育環境においては,指導者は発問や机間指導を通して学習者の状態を確認しているが,遠隔教育環境ではコミュニケーション情報の欠落や環境による制約から,随時学習者の状態確認を行うのは容易ではない.先行研究においても,同期型遠隔教育環境は,距離の制約を超え,双方向の映像と音声を用いた対面教育が可能な環境と捉えられがちであるが,実際には対面教育環境の複製にはなりえず,双方向の映像と音声を用いた疑似の対面インストラクションの効果が疑わしいことが報告されている.この問題点に対してこれまで有効な解決策が示されていない.そこで本研究では,「同期型遠隔講義において指導者が十分に学習者の状態を把握せずに授業を進めてしまう」という問題点の解決を目指しており,平成23年度に開発した内的状態を推定するアルゴリズムは,本研究の中核を担うものである.アルゴリズムの開発過程は次のとおりに実施した.まず,複数の学習者の様々な状態での学習映像を撮影・録画して蓄積した.これらの映像に対して,画像解析技術を用いて学習者映像の分析を行い,主に学習者の動作をもとにした学習者状態の推定アルゴリズムのプロトタイプを開発した.さらに,開発したアルゴリズムに対して随時形成的評価を実施し,アルゴリズムの正確性,頑健性を向上させた.また,日本教育工学会全国大会において本研究に関する発表を行い,研究成果の発信に努めるとともに,第三者の視点から評価を受けて研究内容の改善を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では,本年度は次の3段階の研究プロセスを完了する予定であった.(1)学習者の学習映像の撮影,学習者の内的状態の取得(レスポンスアナライザや再生刺激法など)(2)学習者の内的状態推定アルゴリズムの開発,(3)学習者の内的状態推定アルゴリズム評価実験.このうち,(2)と(3)については,当初計画通りに進捗している.(1)のプロセスのうち,学習者の内的状態の取得については,交付金額が減額となったことに対応して必要機材を変更したため若干の遅れが生じているが,来年度中に取り戻すことが出来る範囲内であり,全体としては概ね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り,一部プロセスについては遅れが生じており,研究分担者を増員して対応する予定である.それ以外については,当初計画通りに進捗しており,必要な研究協力者も確保できていることから,特に変更する点はない.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度会計処理の都合で残額が発生しているように見えるが、すべて既に支払い済みである。次年度の研究費については,交付金額の減額により当初予定していた調達機材を若干変更する以外,当初の使用計画を変更することなく,研究目的を達成できると考えている.
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Research Products
(1 results)