2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23650535
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
大島 純 静岡大学, 情報学部, 教授 (70281722)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 悦司 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (00324898)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | カリキュラム / 授業法開発 / ナノサイエンス |
Research Abstract |
本研究の目的は,ナノサイエンスを具体例として,社会の先端科学の発展に寄与する高度な研究者の育成を目指した戦略的な教育カリキュラムの設計を,専門的な教育に入る準備段階にあたる初等中等教育カリキュラム(具体的には,理科)で実現することである.この研究では,世界的に評価の高い日本の初等科学教育における学習活動の構造が持つ特徴と,それを先端科学の基本概念の学習に連動させる知識創造型学習カリキュラムの考え方を融合させる.教育センターの指導主事(理科)や現場の教諭らとの授業研究チームを構成し,具体的な実践活動を通して,カリキュラムの精緻化をはかっていく.これによって,ナノサイエンスの理解のための基本概念の抽出と,それを用いた基礎学習のジャパニーズ・スタイルを提唱する. H23年度の具体的な研究目的は,ナノサイエンスの基本概念の抽出と,初等中等理科教育の学習指導要領の学習単元とのマッチングをはかる. 1 ナノサイエンスの研究動向について文献調査を行った.3名は自分の理解に基づいて,その内容を児童に教授する際,どのレベルの説明が可能かを個々に検討し,その案を持ち寄って議論した.ここから,ナノサイエンスの基本概念の候補を抽出した.2 さらに,学習科学,科学教育の関連する研究の文献調査を行い,そこで取り上げられているナノサイエンスの基本概念と今回のミーティングを通して抽出した概念群との比較検討を行った.特に北米の科学教育カリキュラムにおけるLearning Proressionの概念が参考となることがわかった.3 基本概念群確定後,概念群学習のための知識構造分析と学習単元の中でそれをどのように実施可能かの検討を行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大きな障害もなく,計画通りに文献の調査,およびその検討が進んでいる.
|
Strategy for Future Research Activity |
年度末に行われたNational Association of Research in Science Teachingの国際学会において,中心的な概念であるLearning Progressionについての現時点での進展状況や今後の計画について情報収集することができた.その中で先端科学教育を初等・中等の科学教育と連携させる時に必要なガイドラインとして教師用の補助資料の必要性が顕在化した.この海外出張のために支出を予定していたが,本研究費以外の支出によって賄われたために,当該年度に残が出た. 教師用の補助資料の制作に向けて,より具体的な単元候補を洗い出し,その上で実施可能な先端科学の概念をリンクさせ,実践者の意見を参考にカリキュラムを組み立てる.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究グループ内のミーティングをより活性化させ,地元の教育センターの指導主事とともに現場教師の研修用の補助資料の作成を行うために,情報収集旅費,研究打ち合わせ旅費等を主に申請すると同時に,実践研究のための消耗費を計上する.この際,前年度の繰越金額を充当する.また,必要に応じて実験補助者の謝金を検討する.
|