2011 Fiscal Year Research-status Report
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23650538
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
滝口 哲也 神戸大学, 都市安全研究センター, 准教授 (40397815)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ヒューマン・インターフェイス |
Research Abstract |
これまで本研究代表者は,工学,教育的側面から音声信号解析による「脳性麻痺構音障がい者のコミュニケーション支援手法の研究」を行っているが,発話の聞き取りも困難であり,音声解析だけでは解明出来ない点もある.そこで本研究において,生理学的側面から脳磁界測定装置を用いた言語コミュニケーション解析に注目した.コミュニケーションにおいて人が言語を話す時の脳活動を研究するものであるため,音素間,音節間の変化に追従する必要がある.すなわち数msecの時間分解能で観測可能な最新鋭のMEG 脳磁界測定装置が必要不可欠となる.平成23年度では,平成22 年5 月に導入された最新鋭のMEG 装置が備わったワシントン大学知脳科学研究所今田俊明教授と共に,「認知工学」「脳科学」の融合による新たなコミュニケーション科学の創出を目指し,言語神経系の解析を用いたユニバーサルコミュニケーションの研究を進めた.今年度では,MEG 信号における外部ノイズに頑健な解析手法として,マルチカーネル学習を用いた高次元空間での最適な特徴量空間の選択法の提案を行い,言語脳解析における新たな機械学習法に基づく特徴量抽出法及び識別モデル手法の有効性を示し,従来手法では発見出来なかった,新たな脳解析を実現した.提案した機械学習法を用いると,与えられたタスクを実行するのに必要(重要)な脳領域,及び脳活動が活発に行われた時間帯を同時に解析することが出来るだけでなく,高精度にタスク識別を実現することが出来る.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度提案したマルチカーネル学習では,高次元空間での最適な特徴量空間の選択手法(特徴量抽出),及び高精度な高次元空間での識別学習により,2 クラスタスク(「あ」「お」の母音識別)に対して,8 人の被験者に対して平均識別率73%を達成することが出来た.提案した機械学習法では,MEGセンサーを機械学習法における特徴量の各次元に対応させることにより,重要な脳領域を解析出来るようにした.実験結果において脳言語野にて大きな重みが得られ,提案手法の有効性が確認出来た.当該研究成果は,信号処理に関する世界最大規模の国際会議IEEE International Conference on Acoustics, Speech, and Signal Processing (ICASSP)にて採択され,3月末に研究発表を行っている.また2012年日本音響学会春季研究発表会にて研究報告を行っている.更に新たな機械学習法(ランダム写像法)に関する研究を遂行中である.よって,当初の目標を概ね達成しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の研究を継続させると共に,新たに以下の手法について研究を進める.本研究代表者らは,これまでに複数の信号が重畳した信号の解析手法として非負値行列因子分解(Non-negative matrix factorization: NMF)を検討している.(中鹿,滝口,有木,"NMF と基底モデルを用いた多重楽音解析" ASJ2010 秋季研究発表会, pp. 671-672, 2010.)この非負の制約を用いて局所的な特徴量抽出を可能とする非負行列因子分解を,マルチチャネルMEG 時間系列データに適用した際の課題(スパース性)を解決する.この手法をランダムプロジェクション法の前処理として適用することにより,更に識別精度の改善が可能となる.また,平成23年度に提案したカーネル学習法は,計算量の多いアルゴリズムであったため,今年度は高速手法としてブースティングに基づく機械学習法も検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究にて取り扱うMEG データは外部雑音の影響を受けやすいため,同じタスクにて繰り返し収録を行うことになる.またチャネル数も多いため,膨大なデータ量となるのは避けられない.最適特徴量空間の自動発見アルゴリズムの発見,及びその有効性を示すためには,様々な条件下(パラメータ制約下)で実験を行う必要がある.本申請研究課題を効率よく遂行するためには,高速な計算機サーバー,ファイルサーバーが必要不可欠である.また,研究成果発表を音声関係の世界最大規模の国際会議Interspeech,日本音響学会研究発表会等にて行う予定である.
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Research Products
(3 results)