2011 Fiscal Year Research-status Report
AICTを活用した教育支援のアクセシブルデザイン研究
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23650541
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
山本 幹雄 広島大学, アクセシビリティセンター, 准教授 (70335636)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | アクセシビリティ / AICT / 教育支援 / 音声認識 / 自動点訳 |
Research Abstract |
本研究では、大学における教育のアクセシビリティの担保に必要となるICT(AICT)を活用した教育支援方法の確立とともに、ICTを活用した情報支援・教育支援の実効的・実用的なアクセシブルデザイン(AD)を提案することを目的とする。大学で学ぶ学生は多様化しており、既存の教材や教授法では、受講に困難を伴なう学生の存在が多く知られるようになってきている。本研究では、これからの情報支援・教育支援のADに不可欠なICTとして「音声認識技術」、「自動音訳技術」、「自動点訳技術」の利用を前提とし、これらの技術を活用した実用的な教育支援方法を開発・提案するとともに、大学で行われる実際の授業や支援に導入し、実践研究・事例研究を行い、ICTを活用した情報支援・教育支援の実効的・実用的なアクセシブルデザイン(AD)理論を構築することをめざしている。平成23年度は、(1)「リスピーク方式による要約口述筆記」および「支援システム」の開発(2)自動音訳および自動点訳を前提とした教授法・教材特性の分析(3)リスピーク通訳を前提とした教授法・教材特性の分析(4)音声字幕教材のWEB配信におけるユーザビリティ・アクセシビリティの分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、AICTを活用した教育支援方法の開発を、(1)「即自的フェーズ」:リアルタイム通訳(2)「短期的フェーズ」:Web配信(3)「長期的フェーズ」:アーカイブ、の3つのフェーズに分類して進める。負担対教育効果の最適化を図るためには、変換効率の最適化を図る必要がある。本研究では、研究期間内にリスピーク方式による要約口述筆記法および自動音訳・点訳に最適化した教授法ADガイドラインを開発し、実際の授業への導入を行い、実証研究・事例研究に基づく負担対教育効果の分析を行い、AICTの利活用と科目特性・教材特性とをセルフコンシステントに解析するAICTを活用した教育支援方法のAD理論の構築を行うことを目指している。平成23年度は、予定どおり(1)「リスピーク方式による要約口述筆記」および「支援システム」の開発(2)自動音訳および自動点訳を前提とした教授法・教材特性の分析(3)リスピーク通訳を前提とした教授法・教材特性の分析(4)音声字幕教材のWEB配信におけるユーザビリティ・アクセシビリティの分析を行い課題を整理することができた。(1)(2)(3)はいずれも本研究の最終目標においては、不十分な点と改良の余地を残すが、このことも当初予定どおりであり、「(2)おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に開発したシステムに、23年度に明らかになった課題を踏まえ改良を加え、データの蓄積を行うとともに、事例研究から科目特性・利用者特性などの傾向と課題を見出し、統計的手法を用いた分析を行う。データ収集においては、適宜アンケート調査、インタービュー調査を行う。ここでは「要約口述筆記法における意味認識率特性」「要約口述筆記法の情報支援としての特性および優位性」「音声字幕付き教材の教育効果、科目特性、利用者特性」「AICT利活用とした教授法・教材作成のAD(アクセシブルデザイン)のガイドライン」である。これらの成果を踏まえて、「AICT利活用を前提とした教育支援方法のAD理論」を提案することを目指す。ネットワーク支援システムや人的サポートシステムの整備の遅れなどにより、予定通り計画が進まない場合は、課題分析およびデータベース構築に比重を置くが、学生協力者の確保は比較的容易であり、当初予定と同等の研究成果をあげることは可能である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は、基盤整備に比重を置いたため、モニター謝金として予定していたもの、および旅費を若干残し、次年度に使用することとした。モニター謝金および旅費は最終年度(平成24年度)の方がより効果的に活用できるものと考えられる。平成24年度は、AICTシステム関連サプライおよびソフトウェア購入費として、消耗品費を計上しており、謝金は、モニター謝金として計上している。旅費は、打ち合わせ・調査旅費として活用する予定である。
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Research Products
(1 results)