2012 Fiscal Year Annual Research Report
生体情報を用いた繰り返し学習の達成度評価に関する研究
Project/Area Number |
23650549
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Research Institution | Hakuoh University |
Principal Investigator |
舩田 眞里子 白鴎大学, 経営学部, 教授 (70137701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渋川 美紀 白鴎大学, 教育学部, 准教授 (80285965)
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Keywords | 事象関連電位 / 学習 / 習熟 / 尺度 / 個人差 / 学習曲線 |
Research Abstract |
効果的な学習を実現するには、学習効果を適切に測定・評価できる尺度が必要である。しかし、学習効果は個人差が大きい。そこで本研究は、大脳活動を中心とした生理データを用いて学習効果を適切に評価する方法(尺度)を定めることを目的とした。具体的には、(1)学習効果を評価するための適切な尺度を定め、その正当性を検証する、(2)異なる学習法による学習効果の違いを生理情報から検知できるか検証する、(3)学習完了状態の推定の可能を検証する、(4)事象関連電位の代替となる生理指標(呼吸、体温、筋電図など)の可能性を検証することを目標とした。 実験に用いた反復学習は、(3桁の数)÷(2桁の数)の計算課題で、生理データは、主に課題実行中の事象関連電位(ERP)とした。ERPは、潜時を明確に測定するため、抽出データ加算平均法(DSAM)を使用して求めた。(1)に関しては、反復によるERPの変化をモデル化し、ERPの特徴値を用いて正答率で示される学習の進捗を説明する線形尺度を作成し、正答率と高い一致度を得た。(2)に関しては、除算と虫食除算を用いてERPの相違から両者の学習法の違いを認識できるか否かを検討した。(3)に関しては、正答率から推定する学習曲線を求め、この曲線上で学習完了状態を推定するモデルを作成し、ERPの変化と学習完了状態へ至る過程との関係を線形モデルで示した。(4)に関しては、今回の研究では、ERPの代替的生理データは確認できなかった。今後さらに検討が必要である。 本研究を通して、「ERP上の個人差は、『課題に対する習熟度に起因する部分』と『それ以外に起因する部分』に分けられ」、「前者はERPの個人差の主要部分(本研究では約83.6%)である」という結果が得られた。生体データ(ERP)の個人差の主要部分が、課題の習熟に起因している可能性の示唆は、今回の研究の成果の一つである。
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Research Products
(10 results)