2011 Fiscal Year Research-status Report
授業実施時のストレスから捉える教師の力量形成の過程
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23650553
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
遠山 孝司 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 講師 (50468972)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西原 康行 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (50339959)
吉田 重和 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 講師 (30549233)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 教育系心理学 / 教師教育 / 教育工学 / 教師の熟達化 / 教職課程 / 生理的指標 |
Research Abstract |
平成23年度より25年度(予定)にかけて「授業実施時のストレスから捉える教師の力量形成の過程」という研究テーマについて助成を受け,研究を進めている。 研究の目的は,教員のとしての力量を発達させるごく初期の段階にあたる教職課程を履修している大学生の授業実施時の生理的指標の変動から教員の発達の初期段階にある人間が授業をすることのどのような部分にストレスや緊張,困難さを感じているのかを検討することである。さらに,授業の経験を積み重ねることで,授業実施時の緊張やストレスはどのように変化するのか,授業経験を積み重ねた経験教師と教育実習生や新任教師が授業実施時に感じるストレスを感じるポイント,感じるストレスの大きさ,感じ方には違いがあるのかなども検討する。本研究は最終的には教員養成課程での教師の力量形成を可能にするカリキュラムの提案を目的としている。 23年度は,まず授業者としては初心者である授業経験の無い大学教職課程の学生が授業をする際にどのような部分に緊張(ストレス)を感じているのかをビデオカメラと心拍計を用いてデータ収集し,生理的指標を用いて作業負荷を捉えるためのデータ収集方法について検討した。ビデオカメラと心拍計を用いることで,授業実施時の作業負荷の変動を捉えることができることと,5秒ごとの平均心拍数よりもR-R間隔をもとに算出されるリラックス率の方が作業負荷の測定に適していることが明らかにされた。 なお,23年度は基礎データの収集を進めてきたが,研究の進行に若干の遅れが見られる状況にある。そのため,当初予定していた段階まで研究が進行していない。これに伴い23年度受けた科学研究費補助金については一部を次年度繰越とし,研究を進めていくものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では平成23年度中に,教職課程の大学生を対象に模擬授業時の動きと生理的指標の変動を比較した上で,授業者にインタビューを行う予定であったが,授業者の時間的負担の問題などもあり,インタビューをするに至ってはいない。そのため,予算として当初計上していた23年度の人件費・謝金が使われないまま次年度経費として繰り越しになっている。 ただし,この遅れについては2011年度の模擬授業実施者が2012年度卒業予定の学生であるため,24年度中にインタビューを行うことで取り戻せるものである。23年度に行った生理的指標の分析結果を踏まえたより詳細なインタビューを24年度中に行う。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は,23年度と同じく,教員志望の学生の模擬授業の映像と授業者の生理的指標の照らしあわせを行う。そして,生理的指標で捉えられる授業者の作業負荷の変動を手がかりにした授業の振り返り(リフレクション)をインタビュー形式で行う。インタビューは23年度の模擬授業に関しても行うが,23年度データに関するインタビューの協力者への謝金は,2011年度の「次年度使用額」にある予算を充てる。 24年度の研究における目的は23年度の実験協力者が(1)授業経験を蓄積することで,授業実施時にストレスを高める/低下させる原因(場面,教授学習行動)が変化するのか,(2)授業経験を蓄積することで,授業時に感じるストレスの強さが変化するのか,(3)授業経験の蓄積によってストレスをキューとする教授学習行動とリフレクションの内容が変化するのかを検討する。 ここでは,同一内容を扱う授業を複数回行った場合の変動と,異なる内容を扱う授業を複数回行った場合の変動を調査する。これは,それぞれが教職課程の大学生の教師としての初期の力量形成にどのように貢献するのかを詳細に検討し,明らかにすることを目的とするものである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費の使用計画は以下になる。授業時の授業者の動きと生理的指標の変動を捉えるための研究資材については,おおむねそろったため,不足分および消耗品を購入する。また,実験協力者のリフレクションを伴うインタビューを行い,その様子をデータとして整理するために,必要な記録媒体などの購入を行う。併せて,データの分析および発表に必要なアプリケーションのアップロードを行う。 旅費の使用計画は以下になる。23年度および24年度の研究成果の発表および資料の収集を行うため,複数の学会および研究会へ参加する。さらに,25年度に熟練者教師の授業時の生理的指標の変動とそれをキューとした内省報告のデータを収集する予定であるため,実験協力者の候補となる現職教員への実験計画の説明を行うための出張費用にも研究費をあてる。 謝金の使用計画は以下になる。23年度および24年度に模擬授業を行い,同時に生理的指標のデータを収集した上でリフレクションを伴うインタビューの対象となる学生に実験の協力に対する謝金を支払う。
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Research Products
(5 results)