2013 Fiscal Year Annual Research Report
授業実施時のストレスから捉える教師の力量形成の過程
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23650553
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
遠山 孝司 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 講師 (50468972)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西原 康行 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (50339959)
吉田 重和 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 講師 (30549233)
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Keywords | 教育工学 / 教師の力量形成 / 大学教職課程 / リフレクション |
Research Abstract |
教員になることを志望している大学生が,自らが教師として授業をする際に何を難しいと考えている状態から,教師としての力量を形成していくのかを検討した。具体的には,教員になることを志望している教職課程の大学生に心拍計をつけた状態で模擬授業を複数回行わせ,測定されたR-R Interval から算出された授業実施時のリラックス率の変動と撮影された授業のビデオを用いてリフレクションをするよう求めた。 このリフレクションによって示される内容から,授業の経験のない大学生が何を難しいと考えながら授業をしているのか,複数回の授業を経験する中でどのような微視的発達を示すのかを検討した。 まず,生理的指標とビデオをキューとしたリフレクションは,ビデオのみをキューとするリフレクションよりも精緻なものになることが示された。そして,わずか3回の模擬授業の経験の中でも,明確に意識する内容や緊張の変動の様態が変化しており,経験のないものが授業をする際には,まず,自分自身の行動に意識が集中するが,少しずつ相手に伝わる授業ができているかという観点で自分の授業を認知できるようになることと,個々の教授活動を行いながら,並行して,次の教授活動について構想できるようになっていくことが示された。この変化は同一内容の授業を2回繰り返したとき,特に顕著であることが最終年での研究において明らかにされた。 これらの模擬授業を複数回経験することによる教職大学生の微視的な発達は,教師としての力量形成が,処理能力の向上によって生じているのではなく,①授業をするという行動を繰り返し経験する中で自動化され,個々の教授行動に意識をあまり向けなくなることや,②よりよい教授行動を行う際に注意すべき点にのみ注意を払い,それ以外の点を無視できるようになることによって起きている可能性を示唆するものであると捉えられる。
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Research Products
(4 results)