2012 Fiscal Year Research-status Report
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23650567
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
桐野 文良 東京芸術大学, 美術研究科, 教授 (10334484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 和司 神戸大学, 連携創造本部, 教授 (10523053)
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Keywords | 釉薬 / 色彩 / ナノ粒子 / XANES / FMR |
Research Abstract |
今年度は釉薬の色彩と構造の関係を融剤の材料面から研究した。色彩は分光光度計で、構造はXAFSおよびXANESで、また、Fe系の特徴を生かしてFMRおよびESRにより評価した。さらに結晶構造をX線回折並びの透過型電子顕微鏡により観察した。 その結果、XAFSおよびXANES測定から、融剤の色彩への影響は2つに大別される。一つはFeの酸化状態(Feの2価、3価)に影響するものとFeの酸化状態が均一なものに分類され、それに伴い、色彩に及ぼす影響が異なる。これは、融剤の酸化性の違いが影響しているものと推定される。 また、FMRおよびESRによる測定からFeの状態はFe2O3とFeあるいはFeOであることを明らかにした。 結晶構造を調べると、回折ピークが得られないもの、原料とは異なる化合物に起因する回折ピークが得られるもの、そして、原料のピークが観測されるものに大別された。これは、試料により融点が異なることに起因する。また、回折ピークが得られない試料を透過型電子顕微鏡で観察すると、ナノ粒子が観察される。現在、格子像から粒子の物質を同定中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度までの研究で釉薬の色彩はFeの酸化状態や配位構造に依存して変化していることを見出した。今後、これら構造を第一原理計算などの計算機シミュレーションで明らかにしていく基礎ができた。今後は構造やエネルギー値が既知の化合物で合わせた計算方法を用いて釉薬の配位構造の解明にチャレンジしていく。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、これら構造を第一原理計算などの計算機シミュレーションで明らかにしていく基礎ができた。今後は構造やエネルギー値が既知の化合物で合わせた計算方法を用いて釉薬の配位構造の解明にチャレンジしていく。あわせて、融剤の影響を引き続き検討していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
計算機シミュレーション用の基礎データとなるエネルギーが既知の材料の購入と測定用の治具を購入予定である。
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