2011 Fiscal Year Research-status Report
空間的意思決定指向型GISの開発-コミュニティ中心社会を見据えて-
Project/Area Number |
23650579
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
村山 祐司 筑波大学, 生命環境系, 教授 (30182140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
碓井 照子 奈良大学, 文学部, 教授 (30068829)
王尾 和寿 筑波大学, 芸術系, 研究員 (10447237)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | GIS / 参加型 / 地理学 / 空間的意思決定 / コミュニティ / 日本 / WebGIS / 地理情報 |
Research Abstract |
(1)空間的思考を引き出す住民参加型GISの開発:統計GISと川上村住民基本台帳人口をもとに,限界集落の抽出を行った.集落別に世帯属性調査と空家実態調査を実施し,ArcGISを利用して,川上村の集落別データベースを作成した.その結果,a)川上村が限界集落として実施している空家対策は,それなりに効果があることが現地調査から明らかになった.村落コミュニティの実態を踏まえた空家対策に関する村民参加型GISの開発が求められる.b)空き家の実態解明には現地調査が不可欠なため,システム開発においてデータの比較的容易な高齢化比率から推定できないか検討した.その結果,回帰式で推定可能なことがわかり,市民参加型GISのシステム要件の一つを見いだすことができた.(2)コミュニティ形成および市民参加における情報技術活用:茨城県東海村における市民参加を目指した「みどりの基本計画」および実施計画の策定を事例とした調査研究を行った. 各種地理情報をGISに統合し、各種情報をデータベース化した.そして土地利用変化の現況を比較検討するとともに,地形条件などの自然環境との関係性を探った.とくに,寺社・古墳などの文化資源の立地パターンと土地利用変化との関係から,対象地域の景観特性の定量的な把握が可能になった.(3)空間的意思決定指向型GISソフトウェアの構築: 市民参加のさまざまな場面で利用できる空間分析機能や可視化機能,情報共有化のあり方を検討し,GISをベースにした情報技術を体系的に整理した.さらに,集合知を活用した地理空間データ取得システムの試作版を構築し,その有用性の実証実験を行った.非集計データをいかに組み込むかが課題であることが浮き彫りになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地調査や既存の地理空間データを収集し,地域住民が参加する場において専門家や行政を交えた中での情報整理や空間分析,その結果としての情報の共有化やコミュニケーションの促進,またコミュニティ形成の場における計画やルールづくり,合意形成や意思決定の手続き,WebGISなどによる情報発信と交流などを検討し,一定の成果を上げた.集合知を活用した地理情報取得の情報システムを設計,開発することが課題として残った.
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Strategy for Future Research Activity |
情報発信・共有化を可能にする空間的意思決定指向型GISの概念構築をおこなう.また,調査者や地域住民が取得した地理空間情報を蓄積するとともに,共有化し効果ができる情報システムの基本設計を行う.このシステムは,空間分析機能を充実させるとともに,初心者でも容易に操作できるインタフェースが望ましい.国土地理院が提供する基盤地図情報をはじめ公的機関が提供するデータをスムーズに取り込むことができること,調査者や地域住民が収集した各種地理空間データを容易に格納できること,またGPSとも親和性が強いことなどが求められる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
参加型GISを大学院生とともに構築するので,彼らを雇用するための人件費・謝金が必要である(30万円).また,参加型GISについて地域住民に聞き取り調査を実施する予定なので,そのための旅費を計上する(20万円).研究成果を学会発表するので,そのための旅費が必要である(20万円).GISソフト関連の物品費も欠かせない(20万円).参加型GISの基本設計を行うために20万円を計上する.
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