2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23650586
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
早川 清雄 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教 (00368292)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀山 武志 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 博士研究員 (40569505)
足立 義博クリストファー 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 博士研究員 (10616204)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 抗腫瘍 / 自然免疫 / インターフェロン |
Research Abstract |
腫瘍発生や形成の過程において、あるいは抗癌治療によって誘導される内因性核酸の流出に着目し、核酸がおよぼす自然免疫応答への影響について研究をすることで、自然免疫応答と腫瘍の関わりを明らかにすることを目的としている。 本年度は、基礎的な実験としてヒト由来の細胞株を用いて、合成核酸による自然免疫応答の活性化と腫瘍細胞の縮小効果について検討を行った。 まず、ヒト由来の様々な組織の細胞株に対して核酸を細胞質内へと導入した後、細胞からRNAを調整し、定量RT-PCRとELISA法を用いてインターフェロンの発現量解析を行った。その結果、特定の組織の細胞株において強くインターフェロンが産生誘導されることを見出した。そこで、その組織に着目し、複数の細胞株を用いて核酸によるインターフェロンmRNA発現やタンパク質の産生について検討を行ったところ、正常細胞と比較して強く誘導され、さらに炎症性サイトカインのmRNA発現も強く誘導されることがわかった。以上の結果から、核酸に対して自然免疫応答が活性化されやすい細胞とされにくい細胞があることが明らかとなった。 次に、核酸刺激をした細胞株で、抗腫瘍効果が得られるのかどうかを細胞死の観点から実験を行った。核酸刺激後、トリパンブルー染色法によって生細胞と死細胞の割合を比較した結果、インターフェロンの発現量が高い細胞では、低い細胞と比べて強く細胞死が誘導され、FACSを用いた解析から、核酸による細胞死は、アポトーシスによるものであることが明らかとなった。 本研究を通して、合成核酸による抗腫瘍効果を明らかとすると共に、腫瘍由来の核酸が引き起こす免疫系への新たな役割を見いだしたい。これらの基礎的な研究は、新しい癌の治療法や診断法の開発に貢献できると考える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腫瘍発生や形成の過程において、あるいは抗ガン治療によって誘導される内因性核酸の流出に着目し、その核酸がおよぼす自然免疫応答への影響を明らかにすることを目的として研究をすすめている。その研究を進める上で必要な基礎的dataを得るために、合成核酸による自然免疫応答の活性化や抗腫瘍効果について調べていたところ、腫瘍組織によりインターフェロンの産生や抗腫瘍効果に違いがみられるという新しい知見が得られた。 これまでに得られた基礎的なdataを基に、内因性の核酸による抗腫瘍に対する影響を調べていくことで、核酸がおよぼす免疫系に対する影響を明らかにすることができると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画書に沿って、腫瘍由来の核酸による自然免疫応答について解析を行うと共に、合成核酸による自然免疫応答の活性化や抗腫瘍効果が、ある種の細胞株において見いだされた。核酸による特定の組織における抗腫瘍効果についても同様に検討していきたいと考える。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度の残額9153円は、平成23年度に購入した「ステンレス製鉗子」の支払いに使用する。
|
Research Products
(1 results)