2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23650586
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
早川 清雄 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教 (00368292)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀山 武志 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 研究員 (40569505)
足立 義博クリストファー 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 非常勤研究員 (10616204)
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Keywords | 抗腫瘍 / 自然免疫 / インターフェロン |
Research Abstract |
腫瘍発生や形成の過程において、あるいは抗癌治療によって誘導される内因性核酸の流出に着目し、核酸が及ぼす自然免疫応答への影響について研究をすることで、自然免疫応答と腫瘍の関わりを明らかにすることを目的としている。本年度は、ヒト由来の細胞株を用いて、in vitro または in vivoにおいて核酸による自然免疫応答の活性化と腫瘍細胞の縮小効果について検討を行った。 まず、in vitroの実験においては、ヒト由来の様々な組織の細胞株に対して核酸を細胞質内へ導入した後、細胞からRNAを調整し、定量RT-PCRとELISA法を用いてインターフェロン等の発現量解析を行った。その結果、あるがん種の細胞において核酸によりインターフェロンのみならず炎症性サイトカインの発現が強く誘導されることを見出した。そこで、そのがん種に着目し、インターフェロンの発現誘導とアポトーシス誘導の関連性について検討をおこなったところ、インターフェロンの発現量が高い細胞で強く細胞死が誘導され、FACSを用いた解析から核酸による細胞死は、アポトーシスによることが明らかとなった。さらに、そのアポトーシス誘導は、インターフェロンレセプターのブロッキング抗体を用いた実験から、インターフェロン以外のシグナルも抗腫瘍効果に大きく寄与していることが考えられた。次に、in vivo において、核酸による腫瘍抑制効果について検討を行った。解析数が少ないため、preliminaryなデータではあるが、ある種のがん細胞においては、マウスにがん細胞を移植し核酸投与を行うと腫瘍が縮小したが、インターフェロンの単独投与では、縮小効果が認められなかった。現在、内因性の核酸が及ぼす影響についても検討中である。このような実験結果から、核酸による抗腫瘍効果が得られれば、インターフェロンに変わる新しい治療法としての応用が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腫瘍発生や形成の過程や抗ガン治療によって誘導される内因性核酸の流出に着目し、その核酸が及ぼす自然免疫応答への影響を明らかにすることを目的として研究を進めている。昨年までの研究において、基礎的なdataを得るために、合成核酸を用いた自然免疫応答の活性化、抗腫瘍効果ついて検討を行った。本年度は、in vitro の実験に加え、in vivo の実験を行いマウスにある種の腫瘍を移植した後、核酸を投与することで腫瘍抑制に核酸の投与が関与することを見いだした。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に沿って、腫瘍由来の核酸による自然免疫応答について解析を行うと共に、合成核酸による自然免疫応答の活性化と抗腫瘍効果についての研究を深め、新しい「核酸・免疫応答を介した抗腫瘍効果」を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の残額245,355円は、プラスティックディッシュや培地を含む試薬などの消耗品代とすると共に学会等で発表する経費に充てることとしたい。
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