2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23650589
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
高田 江里子 独立行政法人国立がん研究センター, 研究所, ユニット長 (50300942)
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Keywords | DNAメチル化 |
Research Abstract |
DNAメチル化異常はがん等のヒト疾患に関与しているが、その誘発因子に関する知見は限られている。メチル化異常誘発に炎症細胞が深く関与しており、新規メチル化異常誘発要因の同定には、炎症細胞等を含む間質細胞と上皮細胞の相互作用を加味したin vivo検出系の構築が必要である。本研究では、異常メチル化を検出するトランスジェニックマウスを開発することを目的とした。 平成24年度は、1) メチル化検出のマーカーのためのプロモーター領域CpGアイランド(CGI)選定、2) ベクター構築、3) 培養細胞への導入までを行なった。当初は、マーカーとしてマウス大腸粘膜でメチル化され易いプロモーター領域CGIを用いる予定だったが、昨年度の解析で同定できなかった。マウスはヒトと比べメチル化されている遺伝子数が少なく、またゲノム全体のCGI密度も低いことから、マーカーに適したCGIを同定することが困難であると予測された。従って、ヒト遺伝子のCGIを用いることに変更した。 すでに、ヒト大腸上皮細胞で容易にメチル化され、メチル化状態と下流遺伝子の発現状態とに良好な相関関係があり、尚かつ、下流遺伝子の転写レベルが高いCGIとしてUCHL1プロモーター領域CGIを同定している (Okochi-takada, Int. J. Cancer, 2006)。このCGIをマーカーに用いることとした。プロモーターの下流に LacI翻訳領域を挿入したLacI発現ベクター、及び、lacO-EGFP発現ベクターを構築した。レポーター遺伝子は、FACSによりメチル化された細胞を分離できるようにするため、緑色蛍光蛋白を産生するEGFP遺伝子を用いた。まず、lacO-EGFP発現ベクターを培養細胞に導入、緑色蛍光強度が高いクローンを分離、さらにこの細胞へLacI発現ベクターを導入し、緑色蛍光が消失したクローンを数系統分離した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究方法を一部変更したため、予定よりも遅れていた計画を立て直すことができた。しかし、ヒトの遺伝子プロモーターCGIがマウスの体内において、ヒトと同様に機能しない可能性も考えられるため、in vitroでの動作確認を十分に行なう必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
ベクターを導入した細胞のクローン数系統で、IPTGの添加により、レポーター遺伝子が発現してくるクローンを同定する。さらにそれらのクローンにおいて、構築したベクターが実際にDNAメチル化誘発の刺激に対して反応するか否かを、1) 培養細胞株を用いたin vitroの系、及び、2) ヌードマウス皮下に移植したゼノグラフトモデルの系の、二通りの系で確認する。まず、in vitroでベクターを導入した細胞株に、ピロリ菌感染者のヒト胃粘膜から分離した炎症細胞を添加し、共培養する。ピロリ菌感染者の胃粘膜では強力にDNA高メチル化が誘発されており、炎症細胞が異常メチル化誘発に重要であることが知られている。従って、本研究で構築した細胞株においてメチル化を誘発する可能性は高い。一方で、ベクターを導入した細胞株をヌードマウス皮下に移植、腫瘍を誘発させる。腫瘍形成の過程では様々な異常メチル化誘発因子が産生されている可能性がある。いずれの系とも、メチル化のマーカーであるCGIがメチル化され、レポーター遺伝子であるEGFP遺伝子が発現し、緑色蛍光を発生させるかを観察する。 二種の系でのどちらか一方でも検出系が動作することが確認できれば、トランスジェニックマウス作製を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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