2012 Fiscal Year Annual Research Report
脊椎動物胚発生を用いた新たな癌分子標的治療への応用
Project/Area Number |
23650590
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
田中 正光 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20291396)
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Keywords | 胚発生 / アフリカツメガエル / 神経堤細胞 / 集団移動 / 可塑性 / トランスジェニック |
Research Abstract |
本申請は、癌の浸潤や転移に対する治療標的分子や化合物を選別するために、アフリカツメガエルの胚発生過程で一過性に出現する癌と類似した移動様式や未分化性を有する細胞集団をアッセイ法に用いるものである。とくに癌の集団移動や幹細胞の可塑性を制御する化合物・分子を得るため、発生過程で集団移動をおこす代表的な細胞である神経堤細胞と、ツメガエル消化管の変態に際して幼生上皮の脱分化により出現する成体上皮の幹細胞をとりあげて、それらに効果的な化合物の選別を行った。まず、所属機関講座との共同研究の基に供与された低分子化合物ライブラリーを胚の飼育水中に添加し、神経堤細胞の移動パターンを撹乱、阻害するものを全胚in situハイブリダイゼーション法により選別した。その結果得られたN-(2,6-ジクロロフェニル)-2-アミノフェニル酢酸 やα-アルキル-β-メトキシシクロペンテノン、クルクミン誘導体に対し、それらが癌細胞の集団移動にも影響するかを胃癌細胞株のゲル内浸潤アッセイを用いて検討したところ、癌細胞の接着性に影響を与えずにその浸潤性を低下させた。また、クルクミン誘導体はアフリカツメガエル初期胚形成において背側大動脈や体節間の血管新生も阻害する効果が確認された。一方、癌の可塑性を制御する化合物を選別するツールとして、ツメガエル消化管の成体上皮幹細胞を蛍光で可視化した個体を得るため、Shh(Sonic hedgehog)のプロモーターにEGFP蛍光遺伝子を融合したレポーター遺伝子を導入したトランスジェニック個体(Shh-EGFP Tg)を作製し、実用性を検定した。
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