2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23650594
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菊池 章 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (10204827)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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Keywords | Wntシグナル / Wnt5a / 腸管炎症 / DSS / LPS / IL-6 / IκB / NFκB |
Research Abstract |
本研究目的であるWntシグナルによる炎症応答の制御機構に関する解析を行い、下記の結果を得た。 (1)デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)による腸管炎症におけるWntシグナルの役割 Wnt5aヘテロKOマウス(Wnt5a^<+/->)に腸管炎症を誘発するDSSを与え、炎症応答の程度を野生型(WT)と比較検討した。その結果、Wnt5a KOヘテロマウスはDSSによる体重減少が野生型に比して抑制され、下痢や消化管出血等の病態活性指標(DAI)が軽度であった。このことは、Wnt5aシグナルがDSSにより誘導される腸内細菌依存性の免疫担当細胞の活性化に関与し、腸管炎症の増悪に関連することを示唆するものである。そこで、DSS処理した大腸をWnt5a抗体で免疫染色すると、潰瘍部直下の間質細胞においてWnt5aが高発現していることが明らかになった。Wnt5a陽性細胞はαSMA陰性の線維芽細胞と考えられた。したがって、炎症刺激より上皮が破壊されると、線維芽細胞からWnt5aが分泌され、そわがさらに炎症応答を増悪すると考えられた。 (2)Wnt5aによるマクロファージの炎症応答の促進 Wnt5aを間質細胞や単球細胞に恒常的発現した細微株を作製して、リポポリサッカライド(LPS)依存性のサイトカインの分泌を測定した。マクロファージ由来の細胞株であるRaw細胞において、LPS依存性のIL6の産生がWnt5aにより促進した。一方、Wnt5aは、LPS依存性のIKBのリン酸化と分解、p50の核内移行を促進しなかった。したがって、Wnt5aシグナルの作用点は、核内でNFkBの転写活性を促進するかまたはIL6のプロモーターに作用する可能性が考えられた。 炎症反応が癌を増悪することが知られている。また、私共はこれまでにWnt5aが癌細胞の浸潤・転移を促進し、癌を悪性化することを明らかにした。したがって、本研究成果とあわせてWnt5aは炎症と癌を結びつける重要なメーディエーターであることが示唆された。
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Research Products
(12 results)