2011 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍促進性RNAファミリーを分子標的とした制癌剤開発のための基礎的研究
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23650599
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
近藤 茂忠 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 特任助教 (40304513)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 機能性RNA / ノンコーティングRNA / 悪性腫瘍 / VEGF / 血管新阻害剤 |
Research Abstract |
本研究の目的は、VEGF阻害治療によって活性化される「悪性腫瘍化RNAプログラム」を明らかにして、これら悪性腫瘍化RNAファミリー(Vegf ncRNAs)を標的とした新たな治療法開発のための学術的基盤を確立することである。本研究の意義は、Vegf ncRNAsを効果的に阻害できる創薬シーズを得ることで、VEGF標的薬が潜在的に抱えている薬剤抵抗性の問題を大幅に改善できる点である。 平成23年度の研究計画では、全てのvegf ncRNAおよび全vegf mRNAスプライシングバリアントを分子標的としたsiRNAの開発、およびその性能評価を行った。その結果、3つのvegf ncRNAおよび全vegf mRNAスプライシングバリアントを抑制できる単一のsiRNAの設計はできなかった。しかしながら、3つのvegf ncRNAを有効に抑制できるsiRNAを2種類、および全vegf mRNAスプライシングバリアントを抑制できるsiRNAを1種類設計することができた。これらのsiRNAの性能評価を行い、以下の成果を得た。各siRNAによってvegf ncRNAsをノックダウンすると、p53 mRNAおよびStat1 mRNAの発現が回復し、その結果、抗がん剤(5-FU, cisplatin, etoposide)によるアポトーシスが亢進した。さらに、これらのsiRNAによるオフターゲット作用が無いことをマイクロアレイ解析によって確認した。 次に、ヒト大腸・直腸がんにおけるvegf ncRNAの発現レベルと悪性度との関連について検討した。vegf ncRNAは未治療の癌部でも発現していたが、癌部に隣接する正常部では発現していなかった。化学療法によるegf ncRNAの発現レベルについては、今年度は解析に良好ながん組織が得られなかったため、平成24年度に引き続き行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度に予定していた中心的課題である、全てのvegf ncRNAを抑制できるsiRNAの設計と性能評価は概ね完了した。これにより、平成24年度に計画しているin vivoレベルでの、vegf ncRNA抑制剤の評価が可能である。 ヒト大腸・直腸がんにおけるvegf ncRNAの発現レベルの解析については、一部のがん組織サンプルが解析不能であったため、当初予定通りには進まなかった。この解析については、新たなヒト大腸・直腸がん組織を入手し、平成24年度に引き続き行なう。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の成果を基に、マウス腫瘍モデルを用いてin vivoにおけるvegf ncRNA抑制剤(siRNA)の抗腫瘍効果を検討する。 ヒト大腸・直腸がんにおけるvegf ncRNAの発現レベル解析を引き続き行ない、vegf ncRNAの発現と実際の病態との関連性を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用する予定の研究費が生じた状況として、当初計画していたヒト大腸・直腸がんにおけるvegf ncRNAの発現レベルの解析の一部が上述したように解析できなかったため、それに相当する試薬等消耗品費が余ったためである。 平成24年度の研究費の使用計画としては、上記のヒト大腸・直腸がんにおけるvegf ncRNAの発現レベルの解析に充てることと、当初計画の動物実験の施設使用料および消耗品に充てる。
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Research Products
(4 results)