2011 Fiscal Year Research-status Report
癌近傍リンパ節由来ヒトモノクローナル抗体ライブラリーの開発と機能解析
Project/Area Number |
23650607
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
磯部 正治 富山大学, 大学院理工学研究部, 教授 (70211050)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | ヒトモノクローナル抗体 / 腫瘍マーカー / 抗体療法 |
Research Abstract |
癌患者の血清中には自己抗体がしばしば検出され、これらの抗体の中には潜在的に癌の診断や抗体療法に役立つ抗体の存在が期待される。本研究では、われわれが独自に開発した抗体産生単一細胞からの完全ヒトモノクローナル抗体迅速単離システムを用いて、癌患者の手術時に摘出された癌組織あるいはその周辺リンパ節に含まれる抗体産生細胞一個一個から抗体遺伝子を単離し、培養細胞で発現させ、得られた完全ヒトモノクローナル抗体をライブラリー化し、個々の抗体の結合特性や機能を調べることによって、有用な癌の診断法ならびに抗体療法の開発を目指している。本年度は癌組織あるいはその周辺リンパ節から抗体産生細胞を単離し、セルソーターを用いて形質細胞の表面マーカ等を指標に、シングルセルソーティングによって単一細胞の分取を行った。その後、独自に開発した懸垂液滴磁気ビーズ反応(MAGrahd)法ならびに、自動化のためのロボットアームを用いて、それぞれの単一形質細胞からcDNAを合成した後、それらを鋳型にして抗体重鎖ならびに軽鎖可変領域のPCR増幅を行った。増幅されたヒト抗体cDNAを、独自開発した標的選択的連結PCR法で発現ユニットに組み込むことで、抗体遺伝子を培養細胞で発現できる形態に変化させ、抗体遺伝子のライブラリー化を行った。次年度はこれら抗体遺伝子発現ユニットをそれぞれヒト由来の293FT細胞に導入し、数日間培養することでヒト抗体を培養上清中に分泌させ、それぞれの抗体の特異性について解析を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究計画に従って、主としてヒトの癌組織近傍リンパ節の収集とそこからの形質細胞の単離、抗体遺伝子の単離を行い、抗体遺伝子のライブラリー化を進めた。これまでのところ、順調にライブラリー化が達成された。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度作製した抗体ライブラリーに含まれる個々の抗体の結合特異性について新規手法の開発も視野に入れつつ、一般的な手法も組み合わせ解析を進める。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は等電点電気泳動装置等を導入し、等電点の差違を利用して抗体の性質を解析する。さらに抗体の結合特異性を調べるために癌細胞を用いた多数の免疫組織学的解析に研究費を使用する計画である。
|
Research Products
(9 results)