2012 Fiscal Year Research-status Report
カーボンナノチューブと組換えアデノウイルスによる高効率遺伝子導入法の開発
Project/Area Number |
23650623
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
武田 貞二 信州大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (90334896)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 直人 信州大学, 医学部, 教授 (80283258)
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Keywords | ドラッグデリバリー / アデノウイルス / カーボンナノチューブ |
Research Abstract |
前年度に行った in vitro の実験結果を踏まえて、カーボンナノチューブ(CNT)で前処理された組換えアデノウイルスが in vivo でも遺伝子導入効率を高めるかを検討した。 コクサキー・アデノウイルス受容体(CAR)の発現が非常に少ない未分化甲状腺癌細胞株であるCG-1細胞を balb-c nu/nu マウスの皮下に移植して担癌マウスを作製した。これに抗腫瘍効果を持つ組換えアデノウイルスをCNT処理群、未処理群に分けて感染させそれぞれの抗腫瘍効果を比較検討した。用いた非増殖型組換えアデノウイルス (AdhTERTtk)は、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT) のプロモーターで制御したヒト単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ(tk)を搭載し、ガンシクロビル存在下で腫瘍選択的に抗腫瘍効果を有することがすでに発表されたものである。この組換えアデノウイルスをCNTの中で増強効果が最も高かったCarbere-Sを前処理した群、未処理の群、あるいはコントロールとしてPBSのみの群、Carbere-Sのみの群の4群に分け、マウスの腫瘍内に直接注射投与した。 2~3日ごとに腫瘍容積を測定していくと、PBS群、CNTのみの群では日をおって腫瘍容積が増大していったのに対し、CNT前処置群では抗腫瘍効果が著しく10匹中5匹の担癌マウスが腫瘍フリーの状態になった。CNT未処理群ではある程度の抗腫瘍効果を認めたもののCNT処理群と比較すると有意にその効果は低かった。3週間後には腫瘍容積に両群間で有意差を認めた。また、コントロール群と比較するとCNT処理群では10日後にすでに腫瘍容積に有意差を認めた。 以上の結果からCNTは in vivo でもアデノウイルスの遺伝子導入効率を高め、遺伝子治療に対する有力なツールとなり得ることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
in vitro の実験が概ね完了し、in vivo の実験で期待された結果が得られたことはある程度目的達成に近づいていると評価できる。しかしながらウイルスの大量調製に時間がかかっていること、他の細胞株で in vivo 実験を再検したいところであるが、移植腫瘍の生着効率が悪く進んでいないことなどから研究に遅滞が生じている。これまでの研究成果をまとめて2011年の日本癌学会と2012年の日本内分泌学会、甲状腺学会に発表できたことは成果の1つではある。今後は in vivo の研究成果がある程度得られれば、論文にまとめたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もさらに in vivo の実験を中心に本研究を推進して行く。すなわちチミジンキナーゼ(tk)遺伝子を搭載した組換えアデ ノウイルスをCNT処理、未処理で担癌マウスの腫瘍内に投与し、抗腫瘍効果を再検討する。 次に、腫瘍内でのみ増殖できる制限増殖型アデノウイルスを用いて、同様にCNTの抗腫瘍効果に対する増強効果を検討する。さらに 、インターロイキン12(IL12)遺伝子を搭載したアデノウイルスを用いて遠隔転移した腫瘍に対するCNTの抗腫瘍増強効果を検討する。 電子顕微鏡を使った実験では、アデノウ イルスをなかなか同定できないため、試料の調整方法を変えて検討したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(1 results)