2011 Fiscal Year Research-status Report
海洋有光層下水中古細菌群集の増殖および代謝活性の現場測定手法の構築
Project/Area Number |
23651004
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
内海 真生 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (60323250)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 生物海洋 / 微生物代謝測定 |
Research Abstract |
本研究は、申請者自身が開発した採水機ROCS(Rotary Clean SeaWater Sampler)の時系列採水機能と、本申請で新たに開発・改良を行う海洋中層で使用可能な新型微生物培養装置を用い、海洋有光層下(水深200~2,000 m)水中に生息する微生物群集の増殖速度や増殖特性について現場培養から定量評価することを目的に実施している。 H23年度は、(1)ロンテナーなどの柔軟素材を利用した培養槽作成による培養装置内の培養用現場環境海水の純度100%の達成、(2)培養槽への任意の基質物質の培養開始時での自動添加の実行による基質特異的な微生物活性の定量的評価(安定同位体ラベル基質の添加とその微生物細胞への取り込み量および取り込んだ微生物の系統解析を行うSIP法の適用)、を満たす為のROCSに装着する培養槽の改良を行った。 また、H23年4月に静岡県焼津市沖駿河湾中央部において漁船を利用した現場培養実験を含む海洋調査を行った。漁船の状況に応じた調査計画および装置を使用することで、ROCS培養機の作動確認および現場培養実験、海水試料採取などが問題なく実施可能であることを確認した。現在、採取した試料の分析を進めている。 H24年3月に改良した培養槽を装着しさせたROCS培養機を用いた駿河湾現場調査を計画していたが、悪天候の為中止せざるを得なかったため、H24年度の早い段階で改めて駿河湾現場調査を計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究申請は、研究目的が、(1)現場培養装置(特に培養槽)の改良・作成、(2)漁船を利用した現場培養実験手法の構築、(3)得られた試料の解析、と明確であること、これまでの挑戦と経験に基づいた装置改良、実験手法構築を行っていることから、研究を遂行する際の支障が少ない。H23年度は、研究1年目で目的とした培養装置の改良(主に培養槽)および現場調査を計画通りに実施出来たことから、おおむね順調に進展していると判断している。唯一、H24年3月に予定した改良培養装置を用いた現場調査が悪天候のため実施出来なかったことが計画通りにならなかった点としてあるが、野外調査研究での自然現象による遅延は不可避であり、来年度早々にも現場調査を実施する計画を持っており、計画遂行への支障は現時点ではほとんどないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 現場型微生物培養装置の改良漁船利用調査の作業時に不具合や不便が確認された点、現場培養の結果から判明した培養装置の不具合に関して、その改良を迅速に行い、完成度を高めた培養装置とし以降の漁船調査に備える。同時に、ROCS制御プログラムについても検討を行い、より適用範囲の広い現場培養および採水が可能なプログラムへの変更を行う。2) 現場培養実験の実施とサンプルの微生物学的解析H24年度は2回(春、秋)の駿河湾中層現場培養調査研究を計画している。同一水深での海洋古細菌群集の増殖および代謝特性を測定し、古細菌群集の増殖や代謝の季節変動特性を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度の研究費は、装置の改良(主にプログラム関係)および現場調査に必要な消耗品の購入、旅費、謝金に支出を予定している。
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Research Products
(1 results)