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2011 Fiscal Year Research-status Report

深部地下圏におけるウイルスの分布と微生物個体群制御へのインパクト

Research Project

Project/Area Number 23651011
Research InstitutionShizuoka University

Principal Investigator

加藤 憲二  静岡大学, 理学部, 教授 (70169499)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2013-03-31
Keywords物質循環 / ウィルス
Research Abstract

本萌芽研究では、深部地下圏地下水を対象にウイルスの存在量と分類群を特定し、ウイルスによる原核生物、とくに古細菌の個体群制御について知見を得ることを目的としている。H23年度は,当初予定した課題(2)古細菌数およびウイルス粒子数の計数とウイルス分類群の特定、ならびに課題(1)と(5)を組み合わせたサイズ分画-希釈培養法による原生動物ならびにウイルスによる原核生物の個体群制御の可能性を明らかにする実験に取り組んだ。 北海道幌延地区の堆積層中に設置された地下坑道の深度140mから採取した地下水では原核生物並びにウイルス数についてそれぞれ、2.4×10の3乗±1.4×10の3乗cells/mL、4.5×10の3乗±1.7×10の3乗VLP/mLの値が得られた。ウィルス/原核生物比(VP比)は1.8と海洋や湖沼で得られている数字の5分の1程度であった。平行して進めた浅い井戸での結果は、1.8×10の5乗±0.1×10の5乗cells/mLならびに3.8×10の5乗±1.5×10の5乗VLP/mLと、やはり小さなVP比1.9が得られた。地下圏のウイルス分布に関する定量的なデータはほとんどなく(Pedersen, 2008,VP比:1-18)、この値が地下圏の実態を示すのかどうか、興味深い。継続してデータ集積する。 ウイルスによる原核生物個体群制御については80時間培養を行ったところ、培養後半にその効果が明瞭に現れた。ウイルス密度を半減させた処理区ではコントロール(0.055/h)に比べて原核生物の増殖速度は0.084/hと増大した。この傾向は、浅い井戸での結果と一致したが、原生動物の効果は浅い井戸と異なり、140m地下水では認められなかった。なおウイルス分類群の同定について、取得したサンプルは次の処理にむけた段階で保存した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

年次別に設定した課題とその達成度は以下の通り。<平成23年度>1. 原生動物の捕食圧の推定;ディフュージョンチャンバーによる疑似現場培養による。→手法をサイズ分画-希釈培養法に変え、これに取り組んで結果を得始めている。2. 古細菌数およびウイルス粒子数の計数とウイルス分類群の特定。→現存量の係数については結果を得た。分類群の特定については、まず透過型電子顕微鏡により形態情報を得ることが重要であり、この作業に取り組んだ。解析用に取得したサンプルを冷凍保存中。3. 遺伝子解析による個体群制御の真正細菌と古細菌への影響の解明。→サンプルは取得済み。現在、解析中。 さらに、<平成24年度>に計画した、5. ウイルスによる原核生物の個体群制御の解明;孔径1, 0.2, 0.02 μmのフィルターを用いたサイズ分画を組み合わせた培養実験によるーこれについては上述した通り結果を得始めている。

Strategy for Future Research Activity

研究課題2.のうちウイルス分類群の同定については手法の確立が急がれるため九州大学農学院の河原林教授に協力を依頼し、共同研究に取り組み始めた。現場環境でホストとなる古細菌の同定も必要であると考えられる。特に標的とするメタン生成古細菌群の構成を明らかにする必要があるため特定遺伝子(mcrA)による検出も必要となってくると考えている。 また、計画段階では明記していなかったが、ウイルス分類群の特定に際しては、透過型電子顕微鏡写真による確認が重要な情報となることから、この撮影に静岡大学理学部塚越教授の協力を得て、取り組み始めた。H24年度は、この項目についても研究を進めたい。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

課題(3)遺伝子解析による個体群制御の真正細菌と古細菌への影響の解明に取り組むため、24年度の研究費は23年度からの繰越金と合わせて実験器機および消耗品の購入に81.7万円を予定している。 また、深部地下圏サンプルの取得を北海道幌延にある日本原子力研究開発機構・幌延深地層研究センターに掘削された研究用掘削孔にて行う。これに必要な国内旅費を40万円計上した。 さらに、透過型電子顕微鏡写真による確認によるウイルス分類群の特定などの実験を遂行する補助のための謝金に20万円使用予定である。

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Published: 2013-07-10  

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