2011 Fiscal Year Research-status Report
量子カスケードレーザーを用いた高感度亜硝酸計測装置の開発
Project/Area Number |
23651014
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
薮下 彰啓 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70371151)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ガス状亜硝酸 / 量子カスケードレーザー / キャビティーリングダウン分光 / 環境計測機器開発 / 大気化学 |
Research Abstract |
ガス状亜硝酸(HONO)は近紫外領域の光を吸収して、大気中の主要な酸化剤であるヒドロキシラジカル(OH)を生成する重要な前駆物質であるが、その生成メカニズムや発生源については不明な点が多い。本研究では、量子カスケードレーザー(Quantum Cascade Laser:QCL)を光源としたキャビティーリングダウン分光法(Cavity Ring-Down spectroscopy:CRDs)を用いて、二酸化窒素(NO2)のエアロゾル表面での不均一反応によるHONO生成メカニズムの解明を見据えた、高感度でリアルタイム計測可能なHONO計測装置を開発することを目的としている。 CRDsでは、2枚の高反射率ミラーを対向させたキャビティーの中に一方のミラーから入射したレーザー光が、ミラー間で多数回往復することで測定感度の向上となる長光路化が可能となる。レーザー光源として、中赤外領域の光を発振するQCLを用いる。HONOの中赤外領域での吸収強度は近赤外領域と比べて極めて強いためである。当該年度では、HONO測定に適したQCL波長、その波長に対応した高反射率ミラー、中赤外光検出器、音響光学素子の仕様検討・選定を行った。また、モードマッチングさせるために必要な集光レンズの計算を行なった。 HONOの発生方法として、2つの方法を試した。一つは、NOとO2とH2Oを混合して発生させる方法であり、もう一つは、塩化水素と水蒸気を粉末状の亜硝酸ナトリムと反応させて発生させる方法である。フーリエ変換型赤外吸収分光装置を用いて吸収断面積が既知の波長領域のHONOの吸収スペクトルを測定することで発生した濃度を求める準備を進めている。発生させたHONOを開発する装置の濃度校正に用いる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
装置を構成する機器や部品の選定に予想以上の時間を要したため、機器や部品が揃っておらず、装置の製作がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
機器や部品が納品され次第、装置を製作しガス状亜硝酸の測定を行なう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
装置を構成する機器や部品の選定に予想以上の時間を要し、まだ納品がされていないため、次年度使用額が生じた。高反射率ミラー、音響光学素子、InSb検出器、光学部品に使用する予定である。
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