2012 Fiscal Year Annual Research Report
深海底堆積物環境におけるC1化合物分布とその微生物地球化学的循環の解明
Project/Area Number |
23651015
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
谷 篤史 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (10335333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳川 勝紀 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 研究員 (50599678)
鈴木 庸平 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00359168)
八久保 晶弘 北見工業大学, 工学部, 准教授 (50312450)
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Keywords | 環境分析 / 深海環境 / 地球化学 / 炭素代謝 / C1化合物 |
Research Abstract |
モノカーボン(C1)化合物を中心とした低分子有機化合物に基づいて活動する海底下微生物圏を総合的に理解するための第一歩として,既に研究が進んでいるメタンや二酸化炭素をのぞくC1化合物のうち,メタノールとホルムアルデヒド,アセトンに着目し,深層の嫌気環境におけるそれらの分布を明らかにするとともに,メタノールを利用する微生物活動に関する研究を行った.2010年~2012年に日本海東縁のガスハイドレート調査で得られた深海堆積物,及び間隙水を計測対象試料とした.間隙水に含まれるメタノール,ホルムアルデヒド,アセトンの鉛直分布を調べたところ,どれも深くなるにつれて増加する傾向が見られた.海底面からの深度が10~15m以深ではこれらの濃度は顕著に増加したが,浅部では低濃度で濃度変化も小さいことが明らかとなった.また,深海堆積物を用いて放射性同位体トレーサーによるメタノール消費活性を調べたところ,メタノールは微生物により代謝され二酸化炭素となることが明らかとなった.さらに,深海堆積物試料から微生物DNAを抽出し,16S rRNA遺伝子を標的とした分子生態学解析を行ったところ,微生物群集構造が鉛直的に異なっていることが示され,C1化合物の鉛直分布との対応が統計学的に推定された.こうした研究成果から,海底下でのC1化合物は微生物活動と密接に関わっており,C1化合物を基質とする微生物圏の存在が示唆された.
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Research Products
(5 results)