2011 Fiscal Year Research-status Report
全方位フーリエ分光イメージング-非整備環境の2次元分光計測への挑戦-
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23651016
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
石丸 伊知郎 香川大学, 工学部, 教授 (70325322)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | フーリエ分光 / 全方位カメラ / 非整備環境計測 / 地球観測衛星 / 双曲面ミラー |
Research Abstract |
我々は、提案している結像型2次元フーリエ分光法の、非整備環境計測への発展を目指している。フーリエ分光法は、温室効果ガス観測技術衛星"いぶき"に搭載された分光手法であり、急峻なガスの吸収スペクトルを計測できる唯一の手法である。本申請では、大気の揺らぎ等、外乱の影響が大きな非整備環境下での全方位2次元フーリエ分光イメージング計測技術へと提案手法を発展させる。これによれば、地上での広範囲な環境モニタリングや、火山などの危険地域の遠隔からの監視、農業地域などの生育状況計測、プラント設備管理技術など、様々な環境や工業計測分野での、広範囲な分光イメージングへの道を切り開くことが可能になる。(1) 反射光学系(反射望遠鏡)への分光光学系の搭載市販の天体望遠鏡を購入して、提案する結像型2次元フーリエ分光方式を搭載し、基本的な光学特性の評価を行った。物体光間位相シフト干渉の原理に基づいていることから、大気の擾乱に頑健であることが期待されていた。そこで、ドライアイスにより大気の大きな揺らぎを生じさせて分光特性を取得してみたところ、良好な分光特性を取得できることを実証した。(2) 全方位分光イメージング光学系の構築分光精度を確保するためには、広視野計測時には、位相シフト量を画角に応じて補正を行わなくてはならない。これは、機械的な位相シフト量による各光線に実効的に与えられる位相差量、画角に応じて幾何学的に異なるためである。そこで、広視野角に対応した画角補正モデルとその校正方法を新たに考案した。特に、校正方法では、フライアイレンズを用いた多輝点像の2次元投影像から、3次元的な位相シフターの設置角を実験的に求めることが可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全方位分光イメージングのキーテクノロジーとなる、画角に応じた位相差補正方式について、その校正方法と併せて新たに考案し、その効果を実証することができた。また、インパクト駆動方式のアクチュエータを用いた超小型位相シフターの製作も完了している。今後、双曲面ミラーを対物レンズとした全方位分光イメージング装置により、分光特性の取得を試みる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 反射光学系(反射望遠鏡)への分光光学系の搭載23年度に構築した反射型分光光学装置を用いて、戸外での分光計測評価実験を行う。例えば、夜空の星の分光観測や、山の緑化状態の分光観測などである。これらの実験により、本分光光学系の非整備環境下での適用可能性を実証する。特に、都外で用いる場合の外乱(機械的な振動、大気の擾乱など)に対する光学的頑健性について基礎的な評価を行う。これは、機械的な振動に対する共通光路型光学系の優位性や、波面の揺らぎに対する物体光間位相シフト干渉法の分光特性への頑健性について実証を行うことである。(2) 全方位分光イメージング光学系の構築本年度は、全周囲の分光情報を高空間解像度、高波長分解能、高感度に取得することに挑戦する。これにより、全方位分光イメージング技術の有効性を実証する。これは、車などに搭載可能な小型全周囲分光イメージング装置により、幹線道路などのガス組成など環境計測を詳細に行う。これにより、従来の衛星などを用いたマクロな地球環境計測と、地上での詳細な環境状態の把握が可能となり、定量的なCO2削減などの指標、あるいは効果の定量的な評価につながる。これは、上記(1)における非整備環境下への光学的な頑健性評価結果を踏まえて、その環境計測への有用性の基礎検証を行うことである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定以上に画角補正広視野分光モデルの構築が順調に進展した。基礎的な原理評価実験経費として見なしていたレンズ関係の経費が不要となった。そこで、平成24年度は、各種の適用評価実験が多くなることから、次年度に経費を用いることにした。特に、小型分光イメージング装置の製作が進展していることから、更に小型の全方位分光イメージング装置の作成を試みる予定である。そのための、双曲面ミラーや製作費として研究費を用いる予定である。
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