2011 Fiscal Year Research-status Report
サンゴ食生物を用いた化学物質のサンゴへの蓄積ならびに白化現象等への影響の評価
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23651027
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Research Institution | Meio University |
Principal Investigator |
田代 豊 名桜大学, 国際学部, 准教授 (20441959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀田 豊 埼玉県環境科学国際センター, その他部局等, 研究員 (60397081)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | PPCPs / 生物試料 / 環境汚染 / 沖縄 / サンゴ礁 / POPs |
Research Abstract |
本研究は、紫外線吸収剤・有機スズ化合物・有機塩素化合物の、沖縄島および周辺離島沿岸海域のサンゴへの蓄積に関する知見を得ることにより、人為化学物質のサンゴ礁生態系への影響を評価することを目的とする。そのために、本研究では駆除活動で採捕されるサンゴ食害生物を分析試料として利用し、サンゴへの蓄積の指標とすることを試みている。沖縄島と周辺離島等の漁業協同組合およびダイビングショップ等(合計66機関)に対してアンケートを実施し、採捕頻度や時期、地域、量、分析用試料としての提供可能性などについて調査した。その結果、14機関で採捕が実施されていることが確認でき、11機関からは試料提供可能との回答を得ることができた。採捕を行なっている各機関に採捕試料の提供を要請し、分析用生物試料を収集した。採捕と同時に生物試料採集地点における底質・海水も採取した。沖縄島(恩納村、読谷村、北谷町)、石垣島、慶良間諸島、和歌山県串本から、オニヒトデは19海域、シロレイシダマシ類は10海域の試料を収集することができた。収集の際には、化学物質による影響の白化等への寄与程度に関する情報を得るために、採捕海域におけるサンゴ白化や病変等の状況について採捕者に聞き取り調査を行なったが、本年度は調査対象海域において明確なサンゴ白化および病変等は発生の報告がなかった。収集した生物試料は、順次分析を実施し、各化学物質の濃度測定を実施している。また、海水試料についても分析を行なった。現時点までで一部の試料について分析結果が得られ、海域による検出物質の違いが見られつつある。また、海水浴場近傍の海水試料から高い濃度の紫外線吸収剤が検出され、サンゴ礁域においても低濃度ではあるが検出されることなどが明らかになっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していたサンゴ礁域における生物採捕状況に関するアンケート調査、生物・海水試料等の収集、分析機器の導入、試料の分析等を実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
分析用試料(春季)を、秋季試料と同様の方法によりできる限り同一海域からの試料を収集する(30~40 検体程度の生物試料と、各海域の底質および海水試料)。これら試料(春季)の測定・分析を秋季試料と同様に実施する。海水浴シーズン前(春季)とシーズン後(秋季)の試料の分析結果から、とくに紫外線吸収剤の環境への放出から生物への濃縮に至る過程を研究する。また、一般に生物体内での代謝分解が少ないと考えられる残留性有機汚染物質と、紫外線吸収剤との体内濃度の季節変化を比較することにより、紫外線吸収剤の生物体内における代謝分解を研究する。さらに、本研究の2 年間の成果を踏まえ、南西諸島サンゴ礁生態系に対する化学物質によるリスクの包括的な評価に向けて以後の研究の方向性を検討し新たな研究計画を立案する。本研究の成果は申請者が所属する日本水環境学会、日本環境化学会、日本サンゴ礁学会などで随時発表するとともに、報告書および申請者のインターネットHP などを用いて一般に対しても広く公開する計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度に続き、分析用の試薬や器具類の購入に充てるとともに、研究代表者・研究分担者間の打ち合わせのための旅費として使用する計画である。
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