2012 Fiscal Year Annual Research Report
サンゴ食生物を用いた化学物質のサンゴへの蓄積ならびに白化現象等への影響の評価
Project/Area Number |
23651027
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Research Institution | Meio University |
Principal Investigator |
田代 豊 名桜大学, 国際学部, 教授 (20441959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀田 豊 千葉工業大学, 工学部, 助教 (60397081)
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Keywords | PPCPs / 生物試料 / 環境汚染 / 沖縄 / サンゴ礁 |
Research Abstract |
本研究は、紫外線吸収剤・有機スズ化合物・有機塩素化合物の、沖縄島および周辺離島沿岸海域のサンゴ礁生態系への影響を評価するために、駆除活動で採捕されるサンゴ食害生物を分析試料として利用し、サンゴへの蓄積の指標とすることを試みた。 沖縄島と周辺離島等の漁業協同組合およびダイビングショップ等(合計66機関)に対してアンケートを実施した結果、14機関でオニヒトデ又はシロレイシダマシ類を採捕していることが確認できた。採捕を行なっている各機関に採捕試料の提供を要請し、分析用生物試料を収集した。採捕と同時に生物試料採集地点における底質・海水も採取した。沖縄島(恩納村、読谷村、北谷町、那覇市、宜野湾市、糸満市)、石垣島、慶良間諸島、和歌山県串本から、オニヒトデは秋季19海域・春季9海域、シロレイシダマシ類は合計32海域の試料を収集することができた。収集の際には、採捕海域におけるサンゴ白化や病変等の状況について採捕者に聞き取り調査を行なったが、調査期間中、調査対象海域において明確なサンゴ白化および病変等は発生の報告がなかった。 収集した生物試料は、各化学物質の濃度を測定した。また、海水試料についても分析を行なった。海水浴場近傍の海水試料から高い濃度の紫外線吸収剤が検出され、サンゴ礁域においても低濃度ではあるが検出されることなどが明らかになった。シロレイシダマシ類については、紫外線吸収剤や有機塩素化合物が検出され、それらの季節及び海域間の違いについて考察した。また、有機スズ化合物は検出されなかった。オニヒトデについても、検出された紫外線吸収剤濃度の季節及び海域間の比較を行い、マリンレジャー活動の盛んな海域において比較的高い濃度で検出される物質があることが見出され、生物試料中の化学物質濃度が人為活動による負荷量を反映していることが示唆された。
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Research Products
(2 results)