2013 Fiscal Year Annual Research Report
低炭素型の技術開発と産業育成対策に関する日中比較分析
Project/Area Number |
23651034
|
Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
李 志東 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (80272871)
|
Keywords | 低炭素産業 / 技術開発支援 / FIT(固定価格買取り制度) / 累積生産量とコスト低減 / 政府支援の重要性 / 低炭素システム |
Research Abstract |
本研究では、低炭素社会構築戦略、技術開発戦略・体制、産業育成システムなどの側面から、低炭素型の技術開発と産業育成対策に関する日中比較分析を行い、低炭素競争を勝ち抜くための条件と課題を学術的に検討すると共に、日中の比較優位性を活かすための政策提言を試みた。最終年度では、太陽光発電産業を対象とする日中比較分析と3年間の研究成果交流を対象としたWS開催を行った。 中国では、太陽電池価格が2008年以降急速に低下し、2014年現在5,000元/kW(8万円)以下となった。実証分析の結果、①累積生産量に代表される経験蓄積や技術進歩による電池価格への影響は2008年までよりも以降の方が大きいこと、②2009年以降、累積生産量が倍になるたびに、実質価格が12.6%(名目価格が10.0%)低下すること、③シリコン価格が太陽電池価格に顕著な影響を与えること、などが分かった。 世界太陽光発電市場は近年、FIT(固定価格買取制度)を導入するドイツやスペインなどを中心に急速に拡大し、中国の太陽光発電装置産業の発展を後押した。中国メーカーは国際競争を通じて、品質向上、規模拡大、国際競争力の強化を徐々に実現してきた。その過程で、政府の産業育成対策が大いに功を奏したことが分かった。 太陽光発電について、中国は電池の価格性能比で、日本は周辺機器、発電所の施工、保守、系統連系の面で比較優位性を有する。両国が協力し合い、装置供給から施工、系統連系、保守までの「太陽光発電サービス」を一括して請け負うビジネスモデルを構築できれば、両国での導入拡大を推進できる。 同研究を通じて、低炭素産業が既存産業と競争できるまでに、政府による研究開発支援、需要拡大のための制度整備が欠かせないことが分かった。
|
Research Products
(10 results)