2013 Fiscal Year Annual Research Report
自然エネルギーの利活用に関する,価値評価に基づく「当事者性」の獲得要因
Project/Area Number |
23651038
|
Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
湯崎 真梨子 和歌山大学, 地域創造支援機構, 特任教授 (50516854)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 敦司 和歌山大学, システム工学部, 教授 (90283960)
|
Keywords | 当事者性 / 自然エネルギー / エコロジカルな地域づくり / 内発的発展 / 小水力発電 / ソーラーシェアリング |
Research Abstract |
自然エネルギーの利活用と地域主体の関係性を探るため,昨年度に引き続き,主として次の実証実験を行った。①那智勝浦町高津気地区において,水車と水車小屋の再生実験,②農林地でのソーラーシェアリング実験。①では昨年度完成した直径3メートルの木質水車の駆動部を収納する水車小屋の再生に取りかかった。小屋の撤去工事~新小屋の設計,建築までを「住民主体による手作り,プロセスの見えるかたち」での再生に取りかかった。合意形成では,地区住民を対象に説明会,区長や地域リーダーへの説明と意見聴取をこまめに行った。本研究は,現地の住民感情を含め,取り組みのプロセスこそが,地区住民の当事者性を測るための参与観察との狙いであるため,時間をかけて取り組んだ。 ②では,耕作放棄地や皆伐林地において,農林業の収益の複合化を図る一方法として,ソーラーシェアリング実験に着手。実際の農業者とともに,ソーラーの下部に作物苗,樹木苗を植え付けた。農林作物の成長には時間がかかるが,現在までには,実験までの地域,行政,農業員会,農家などの反応を記録し当事者に至るプロセスの観察を行った。同時に,ソーラーシェアリングと経済が両立するための品目,架台の設置設計,パネルの角度,蓄電課題,電力の用途などの検討を行った。また本研究に関連するものとして,那智勝浦町や串本町での地域住民主体によるソーラー発電事業について,事業初期から関わり参与観察を行った。 また,「自然エネルギーに対する意識調査」について,全国1400サンプルに対しwebアンケートを行った。その結果,原発に対してノーの立場を取る者が多く,自然エネルギーへの一定の理解が見られた。同時に,自然エネルギーに新産業としての可能性を見る者も多かった。しかし実行への当事者性については薄く,他力な態度が目立った。これらの実証実験の数々は,地方新聞に連載し広く公開に努めた。
|