2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23651045
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小松 賢志 京都大学, 放射線生物研究センター, 教授 (80124577)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2012-03-31
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Keywords | 小頭症 / 放射線 / 大脳神経幹細胞 / 中心体 / アポトーシス / NBS1 / apical / basal |
Research Abstract |
国連科学委員会報告(1988年)による放射線障害の推定では、小頭症を伴う精神遅滞の発症は1Svあたり40-50%であり、放射線発がんの5%/Svに比較して10倍近くの高い放射線リスクである。放射線小頭症の発症は妊娠8週から15週での体内被曝被ばくが原因であるが、その分子機構については解明されていない。放射線感受性と小頭症を特徴とするナイミーヘン症候群の蛋白は細胞分裂に重要な中心体の維持に必須である。そこで、本研究は放射線小頭症発症における中心体の役割を明らかにすることを目的とする。 はじめに妊娠13日目のマウスにγ線1Gyおよび2Gyを照射後、大脳重量が20%-30%低下して放射線小頭症がマウスで確認できた。続いて照射後1、4、12、24時間後と時間経過依存的にマウス胎児脳を取り出し、4%PFAで固定後、カスペース3抗体で染色した結果、4時間後に顕著にアポトーシスが起こったことが判明した。同様に、γ-H2AX染色でも一時間後にあったDNA損傷が4時間後にアポトーシスを誘導したことが確認された。ZO1抗体を用いた組織染色の結果、神経細胞の分裂が起こるapical側の組織構造が1Gy照射では一時的に破壊され、2Gy照射では恒久的に破壊された。γチューブリン抗体を用いた免疫染色では、apical側に局在していた中心体が組織構造の破壊と同時にbasal側に移動していることがわかった。同様にPH3抗体による免疫染色で、分裂細胞そのものがbasal側に移動していた。続いて、放射線照射による中心体を調べた結果、放射線照射により中心体数の異常が確認された。このことから、放射線照射により神経幹細胞がアポトーシスにより失われる。続いて、これを補うべく神経幹細胞の増殖が開始するが、中心体の異常が神経幹細胞の増殖の場を失い、放射線小頭症に導かれる経路が示唆された。同様に、ナイミーヘン症候群患者でも中心体異常が小頭症を誘発していると思われる。
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Research Products
(26 results)