2013 Fiscal Year Annual Research Report
修復酵素反応経路間の干渉による放射線DNA損傷の非線形な修復応答
Project/Area Number |
23651049
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
横谷 明徳 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門先端基礎研究センター, 研究主席 (10354987)
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Keywords | クラスターDNA損傷 / 塩基除去修復 / Nth / Fpg / 炭素イオンビーム / DNA変性とアニーリング |
Research Abstract |
クラスター化した複数のDNA塩基損傷に対する塩基除去酵素の作用機序の違いが、その後の修復プロセスにどのような影響を与えるかを解明することを最終目的とし、様々な線質の放射線を照射したプラスミドDNAに対してNthとFpgの二つの塩基除去酵素を同時にあるいは逐次的に作用させた時の塩基損傷除去活性を調べた。クラスター中の損傷塩基のうちのひとつが最初に働く酵素の作用でSSBへ変換されると、数塩基対以内にある別の塩基損傷をプロセスする2番目に働く酵素の活性が強く阻害されることが予測されてきた。しかし得られた結果は、最初の酵素プロセスは次の酵素の活性には影響しないことを示した。このことから、従来の予想を覆し高LET放射線であってもクラスター内の塩基損傷は数塩基対以上離れて生成し、塩基除去修復過程でこれらは速やかに2本鎖切断に変換される可能性が示唆された。 これらの成果を国際会議(HITSRS2013,千葉)で発表し、2報のProceedingsとして刊行した。またクラスター損傷を有する2本鎖DNAを1本鎖DNAに変性させた後に、再び無傷のDNAと再結合(アニール)することでクラスターを解消した上で、塩基除去修復酵素との反応を調た。変性やアニールの条件(反応温度や試料に添加するホルムアミドの濃度など)の検討を進め、今後この条件で実際に照射したDNA試料に対する分析を行って行く見通しを得た。
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Research Products
(7 results)