2012 Fiscal Year Research-status Report
X染色体を中心とした新たな化学物質毒性メカニズムの体系化と影響評価システムの構築
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23651054
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Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
熊本 隆之 奥羽大学, 薬学部, 助手 (00433558)
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Keywords | X染色体不活性化 / 化学物質影響 / エピジェネティクス |
Research Abstract |
X染色体不活性化は単一の遺伝子で制御されその機構も不完全要素が多いが、脳神経系や生殖系など作用が広範に波及することから化学物質胎児期曝露に対する脆弱性が危惧される。 我々はディーゼル排ガス胎仔期曝露について報告し(Kumamoto et al.,JToxSci,38(2),2013)、また、前年までにビスフェノールA胎仔期曝露がマウス大脳でX染色体不活性化因子(Xist,Tsix)の発現変動とともにX連鎖性脳発達関連遺伝子(Fmr1、Pak3、Gdi1、Nlgn3)を発現変動させることを見出している(Kumamoto and Oshio,JToxSci,2013,in press)。さらにX染色体不活性化因子と脳発達関連遺伝子のDNAメチル化解析を進めたが有意な変動は認められず影響はノンコーディング遺伝子であるXist,Tsix RNAを介するものと推察された。 さらにXistを中心に探索を進め、ベンゾaピレン胎仔期曝露で顕著な差が見いだされた。ICR系妊娠マウスに妊娠7-15日目まで一日おきに20および80、320mg/kgを経口投与、その出生仔を検討し、雌出生仔の4日齢でXistの曝露濃度依存的な発現減少が認められたが、Nlgn3の減少を除きTsixおよびX連鎖性脳発達関連遺伝子に有意な差はなく、現在、発達過程での影響を検討中である。雄出生仔の7週齢で曝露濃度依存的な精巣萎縮と精子形成異常が認められ、その精巣中遺伝子発現を検討、Xistおよび検討した全てのX連鎖性精子形成関連遺伝子(Tex11、Tex13、Usp26、Taf2q、Taf7L、Nxf2、Fthl17)の曝露濃度依存的な発現減少が認められた。Tsixに差はなかったが、DNAメチル化酵素Dnmt1やヒストン脱アセチル化酵素Hdac1に有意な差がみられ、今後エピジェネティカルな影響について検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のとおり、ビスフェノールA胎仔期曝露での成果を中心にベンゾaピレン胎仔期曝露での影響を見出しかつ進展させておりおおむね順調である。ビスフェノールA胎仔期曝露の成果については論文として発行された。
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Strategy for Future Research Activity |
ビスフェノールA胎仔期曝露については雄性生殖およびエピジェネティクスへの影響を進展させる。ベンゾaピレン胎仔期曝露について成長に応じた変化を検討していく。必要に応じて新たな探索を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記に必要な遺伝子及びエピジェネティクス解析用試薬、動物、曝露物質など物品購入、学会旅費、論文投稿および英文校正費に使用する。
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