2011 Fiscal Year Research-status Report
メダカ卵への新たな物質導入法による化学物質の発生影響評価法
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23651057
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Research Institution | Ariake National College of Technology |
Principal Investigator |
冨永 伸明 有明工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (30227631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有薗 幸司 熊本県立大学, 環境共生学部, 教授 (70128148)
河野 晋 有明工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (30270375)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 発生影響 / パルスパワー / メダカ / マイクロアレイ |
Research Abstract |
平成23年度は,物質導入のための高電界パルスの受精卵への影響およびタンパク合成阻害剤導入による効果について形態観察およびDNAマイクロアレイによる網羅的遺伝子発現変動解析で観測した.受精後8時間のメダカ卵に塩水,シクロヘキシミドまたはアクチノマイシンDの塩水溶液を外液とし高電界パルスを印加して各物質をメダカ卵内へ導入し,形態観察を行いながら受精後8日目まで培養した.各群3個のメダカ卵からRNAを抽出し,DNAマイクロアレイ解析を行った.塩水で高電界パルス印加のみを行った群は未処理コントロール群と比較して遺伝子発現の有為な変動は見られなかったことから,高電界パルス印加によるメダカ卵へのダメージはないか,受精後8日目までに完全に回復すると考えられた.シクロヘキシミドまたはアクチノマイシンD導入群ではそれぞれ特有の形態異常が観察され,DNAマイクロアレイ解析では有為に発現量が変動した遺伝子が確認できた.また,シクロヘキシミドまたはアクチノマイシンD導入群で発現量が変動した遺伝子の種類が異なっていたことから,フェノームおよびトランスクリプトーム解析を合わせて行うことで化学物質の影響を詳細かつ明確に調査することができる非常に有用な発生影響評価法となりうることが示された.また,メダカ卵に印加するパルスについても検討を行い,特殊な波形のパルスを印加することでメダカ卵への物質導入量を増加させることに成功した.24年度はメダカ卵内への物質導入量の定量を行うこと,改良した高電界パルスを用いてより分子量の大きい物質の導入を試みることで,さらに広範囲へ応用可能な技術とすることを目指す予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の最大目標であった物質導入による発生影響の確認比較および高電界パルスをメダカ卵に付加することによる悪影響の有無についての遺伝子レベルでの確認は予定通り行えた.物質の導入による発生影響試験は2種類のタンパク合成阻害剤で明らかに個体発生に対する毒性による影響に違いが生じることを確認した.また,高電界パルス影響についても高電界パルス処理有無のメダカ卵の発生状況の比較およびパルス印加8日後の遺伝子発現状況をDNAマイクロアレイで調査し,影響がほとんど無いことが確認できた.以上のことから判断して本研究課題はおおむね順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
計画通りに進め,取り込み量の定量化および他の化学物質暴露による発生影響の評価について検討し,実用化の可能性について検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の予算は,わずかに繰り越しが生じた.これは対外発表を行った学会が近郊であったため,代表者の旅費の使用が節約できたためである.次年度は実用化について検討するため,高額なマイクロアレイ解析を多く行う必要があるため,消耗品に繰り越し分は充当し,より詳細な解析を試みる予定である.
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Research Products
(6 results)