2011 Fiscal Year Research-status Report
捕捉・還元・酸中和機能を有する層状複合酸化物による排水中Cr・Se・As処理技術
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23651061
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
亀田 知人 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60333895)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 層状複水酸化物 / 六価クロム / 吸着 / 還元 / インターカレーション / 廃水処理 / 鉄イオン / ドープ |
Research Abstract |
めっき工場などの廃水に含まれるCr(VI)は非常に強い毒性をもつため、廃水から除去する必要がある。本研究では、還元および吸着を複合した処理方法の開発を目的として、アニオン交換能を有するMg-Al系層状複水酸化物(LDH)にFe2+をドープし、水溶液からのCr(VI)の除去を検討した。 Fe2+の量を変え、Cl-をインターカレートした4種類(Mg:Al:Fe=4:1:0、3:1:1、1:1:3、0:1:4)のLDHを共沈法により合成した。合成した4種類(Mg-Al-LDH、311-LDH、113-LDH、Fe-Al-LDH)の生成物中に確認されたFe3+は、合成の過程でFe2+の一部が酸化したものである。Fe量の増加に伴うd003値の減少から、LDHのホスト層にFe2+がドープしたことが確認できる。Fe3+はXRDにおいてLDH特有のピーク以外確認されないため、非晶質の多孔質吸着剤として知られるFeO(OH)として存在していると考えられる。LDH構造はM2+/M3+が2~4の時に安定であることから、113-LDHおよびFe-Al-LDHはLDHとFeO(OH)の混合物であると考えられる。 4種類のLDHを用い、1mMのCr(VI)水溶液500mLにAl/Cr=5でLDHを添加し、30度で2h振とうした。2hで、311-LDHが最も大きな除去率である99.7%を示した。Mg-Al-LDHよりもFe2+をドープしたLDHの方が吸着能が向上したことがわかる。これは、LDH層間でのCl-とCrO42-とのアニオン交換反応に加え、ドープしたFe2+によるCr(VI)からCr(III)への還元に伴うCr(OH)3の生成によると考えられる。一方、Feの量が多い113-LDH及びFe-Al-LDHではMg-Al-LDHと比べて除去率が低かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Fe2+をドープした層状複水酸化物の合成、並びに、捕捉、還元及び酸中和を複合した六価クロムの処理を実現できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
処理対象物質として、セレン、ヒ素も検討する。捕捉・還元・酸中和機能を複合した処理方法の開発を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成24年度請求額とあわせ、次年度に計画している研究の遂行に使用する予定である。
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