2013 Fiscal Year Annual Research Report
糸状緑藻の優占化機構の解明とこれを利用した大気開放系での水処理と物質生産の両立
Project/Area Number |
23651064
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
下ヶ橋 雅樹 国立保健医療科学院, その他部局等, 研究員 (20334360)
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Keywords | 糸状緑藻 / ノンポイント汚濁源 / 農業排水 / 排水処理 / バイオレメディエーション / バイオマス資源 |
Research Abstract |
本研究では,糸状緑藻を活用した開放系での水処理・物質生産プロセスを開発することを目的とし,藻類の増殖や優占化,栄養塩の取り込み,ならびにその資源化に関して検討を行ったところ,以下に示すような,プロセス開発上有効な知見を得ることができた。 室内実験として,表面に他の藻類等が付着している状態ではあるが屋外実験水路から採取し分離したSpirogyra属をシャーレにて培養し,藻体長さの変化を計測することで,同プロセス設計の基礎となるSpirogyra属の成長速度に関する情報を得ることができた。また糸状緑藻Oedogonium obesumの増殖速度をシアノバクテリアMicrocystis aeruginosaと比較することで,双方の増殖速度に与える培地種の影響を把握した。 屋外実験として,屋外実験水路を用いて化学肥料由来模擬農業排水(化肥系),ならびに畜産排水由来模擬農地排水(畜産系)の栄養塩の除去能力の評価を,冬季及び夏季に実施した。その結果,特に夏季に化肥系及び畜産系ともに糸状緑藻による全溶存態窒素の除去率向上が確認され,また化肥系に対する窒素除去促進が目立った。さらにこの夏季の実験では,いずれの系においても糸状緑藻の存在による硝酸・亜硝酸態窒素濃度低下が確認され,藻体の窒素取り込みのみならず糸状緑藻の存在による脱窒反応促進が影響している可能性が考えられた。一方リンに関しては糸状緑藻による除去率促進は冬季,夏季ともに確認できなかった。以上より,糸状緑藻を活用した水処理プロセスの栄養塩除去特性を把握できた。 糸状緑藻の資源としての活用について,農業排水路から採取した糸状緑藻群落を硫酸処理した場合,乾燥重量1 gあたり0.2 gのグルコースが,またメタン発酵を実施した際には1ヶ月間の発酵により1 gのVolatile Solidあたり約0.75 Lのメタンが生成することがわかり,資源化に関する基礎情報を得ることができた。
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Research Products
(1 results)