2011 Fiscal Year Research-status Report
天然ガスからの化学品製造における消費エネルギーの80%削減に向けた新技術の開発
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23651069
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
水嶋 生智 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60239233)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 天然ガス有効利用 / 部分酸化反応 / モリブデン触媒 |
Research Abstract |
メタンの部分酸化によるメタノール・ホルムアルデヒドの直接合成プロセス用の触媒の開発について以下の研究成果を得た。(1) Y型ゼオライト内包型ケイモリブデン酸触媒の合成法の確立 超安定化Y型ゼオライト(USY) 内包型のケイモリブデン酸(SMA)触媒を原料物質や調製条件を変えて合成し、構造・物性や触媒活性を評価した。いずれの合成法でも、USY内部に導入できたMo量が理論最大値の10%にも満たなかったため、触媒活性は低レベルであったものの、非内包型SMA触媒に比べると高い活性を示し、触媒設計の妥当性が示された。現在、Mo導入量を増加する方法とMoの昇華・損失を抑制する方法を検討中である。(2)微結晶USYの合成 USY内包型SMA触媒の活性を改善するためには、USYの微結晶化も重要な因子である。本研究では、微結晶Y型ゼオライトの合成とその脱アルミニウム処理によるUSYへの変換を試みた。原料物質や調製条件の最適化を行った結果、10 nm程度の微結晶Y型ゼオライトの合成に成功した。しかし、一般に用いられている水蒸気による脱アルミニウム処理ではゼオライト構造が崩壊したため、水蒸気の代わりに四塩化ケイ素を用いる方法を調査している。(3)中空シリカ内包型SMA触媒の合成 当初の研究計画にはなかったが、有望と考えられる新たな発想であったので、試験的に研究を行った。油中にSMA水溶液の微細粒子を分散したエマルジョンにSi源を加え、油/水界面でシリカを構築する方法で触媒を合成した。SMAが中空シリカ内に存在することが種々の方法で確認され、目的とする触媒が得られた。反応試験を行ったところ、活性は非内包型SMA触媒よりも高く、その有効性が確認できた。さらに活性を改善するためには、Mo濃度、シリカ壁の厚さ、細孔構造、等の最適化が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) Y型ゼオライト内包型ケイモリブデン酸触媒の合成法の確立 種々の合成方法を試み、設計通りの触媒が合成できたので、おおむね順調に進んでいると言える。しかし、Mo導入量を増加させ、また、反応中のMoの昇華・損失を完全に抑制するには至っておらず、期待通りの触媒活性が得られていないので、今年度はこの点に重点をおいて研究を遂行する。(2)微結晶USYの合成 微結晶Y型ゼオライトの合成についてはおおむね目標を達成できたと言えるが、現在はこれを脱アルミニウム処理してUSYに変換する方法の確立を目指している。(3)中空シリカ内包型SMA触媒の合成 試験的に行った研究であるが、有望であることが確認されたので、USY内包型触媒と並行して研究を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き触媒合成法の最適化を検討するとともに、高活性な触媒については活性種の状態や反応機構を解析する。(1) Y型ゼオライト内包型ケイモリブデン酸触媒の合成法の確立 USY内部へのMo導入量の増加とMo種の昇華・損失の抑制を主として検討する。前者については、例えば前駆体である[Mo7O24]6-アニオンを化学的により小さな[MoO4]2-アニオンに変換して導入Mo量の増加を図る。後者については、他の金属成分の添加等による改善を試みる。(2)微結晶USYの合成 合成した微結晶Y型ゼオライトのUSYへの変換方法として、四塩化ケイ素SiCl4を用いた骨格AlのSiへの置換を試みる。成功した場合はSMAを内部に導入して触媒とし、構造、物性、触媒特性、等をこれまでの触媒と比較しながら、微結晶化の効果を検証する。(3)中空シリカ内包型SMA触媒の合成 触媒活性改善のためには、特にシリカ壁の厚さと細孔構造の制御が重要と考えられる。触媒調製時の原料溶液の組成や添加剤の効果を主として調査し、最適な構造を有する触媒の開発を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の直接経費600,000円のうち、500,000円を触媒調製用の薬品類や反応試験用のガス類、等の消耗品の購入に充てる。また、学会での研究成果発表に100,000円を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)