2011 Fiscal Year Research-status Report
新規3次元構造を有するリグノアルカン類の創製と物性評価
Project/Area Number |
23651074
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
三苫 好治 県立広島大学, 生命環境学部, 准教授 (20301674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河地 貴利 和歌山工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (30290779)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | リグニン / 接触水素化 / 還元 / 相溶化剤 / リグノアルカン |
Research Abstract |
地球生態系に高度に蓄積されながら未だに有効な活用分野が見出されていないリグニンは,石油資源の枯渇が迫るなか"有益な炭素系素材"としての期待が高まっている。本研究では,リグニンをリグノクレゾールとして分離・精製する既存技術[Tappi J., 72, 145(1989)]を活用し,常温微加圧(0.3MPa 以内)条件下,難分解性の芳香族炭化水素類を99%以上の高効率で環還元する当該研究者の独自新技術 [Environ. Sci. Technol., 43,5952(2009)]を転用し,リグノクレゾールの芳香環部分を選択的に還元し,ポリマー増量/補強剤としても期待される高次構造を有する網目状の新規脂肪族炭化水素類(=リグノアルカン類)の合成法の開発を目指す。 今年度は,リグニンのモデル化合物であるアニソール系化合物を用いて,1.触媒種類と溶媒の組み合わせが還元効率に与える影響,2.薬剤投入量と温度等の反応条件の最適化,3.触媒への水素吸着量の比較を行い,加えて,4.リグニン誘導体の分解を行い分解生成物の構造解析を行った。各種貴金属を担持した活性炭/グラファイト/アルミナ系触媒について環還元能を評価した。その結果,本反応系においてRh/C触媒を用いると,リグニン誘導体のアリールエーテル部位が定量的にアルキルエーテルに変換することをIRスペクトル及び1HNMRスペクトルの解析から明らかにした。また,アルコール溶媒は,ヒドロキシ部位の水素のみが選択的に消費されることも明らかにした。次に,反応温度の影響を検討し,常温では環還元が進行するのに対し,各種溶媒の沸点では脱アルコキシ化反応が優先し低分子量化することを見出した。また,反応時の容器の内部圧力は通常の水添反応に比べて極めて低いことから,分子状水素の生成は殆どなく原子状水素が効率よく触媒表面上で利用されている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
次年度研究テーマであるリグニン分解物の同定を進めている。その結果,リグニン誘導体の特徴的構造であるアリールエーテル構造が,アルキルエーテル構造へ返還されていることをIRスペクトル及び1HNMRスペクトルから明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
反応前後の触媒表面観察と触媒再利用時の触媒劣化に関する検討,触媒上の表面電位の測定による原子状水素発生量の推定,分解生成物の同定,熱溶離性や熱重量分析から加熱による物性劣化について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
水添反応を行うための有機合成装置(予定では,EYELA社製CCR-1000G型)を購入する。
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Research Products
(1 results)