2011 Fiscal Year Research-status Report
太陽電池応用を目指した高結晶単層カーボンナノチューブの基礎的研究
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23651082
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田路 和幸 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (10175474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 英志 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (90312652)
佐藤 義倫 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (30374995)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 太陽電池 / ナノチューブ / 再生可能エネルギー |
Research Abstract |
本研究課題では、単層カーボンナノチューブ(single-walled carbon nanotube: SWCNT)の半導体特性と素材の高純度かつ完全性による優れた電子移動特性に注目し、二酸化炭素削減の中心的役割を担う太陽電池への応用を目指す。[高い量子効率を得るためのSWCNT薄膜の作製]高純度かつ高結晶性SWCNTの表面は極めて疎水性が強いため界面活性剤を利用して均質な分散液を得る必要がある。しかも、分散のために使用した界面活性剤は、電子伝導を阻害する働きがあるため、できる限りその使用は避けたい。しかしながら、量子効率の高い薄膜を得るには、均質性の高い薄膜を製造することが高い量子効率を得るためには必要である。このことから、SWCNTと電極の間でトンネル現象が起こると予想される極めて炭素鎖の短いドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecyl sulfate: SDS)を中心に検討し、そのSWCNTの分散性、そして最適な薄膜調製を達成する。さらに、電子顕微鏡観察により、カーボンナノチューブの表面および薄膜状態を評価した。予測通り、SDS濃度が高くなるに従い、SWCNTの分散性が向上するが、バンドルを形成しているSWCNTは解れているわけではなく、SWCNT薄膜には過剰のSDSが吸着していた。SDSを使用した場合は、SWCNT薄膜を形成した後に蒸留水に浸漬することで、SDSを洗い流す処理が有効であった。今後は残留SDSの評価と共に、SWCNT薄膜の電子物性が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東日本大震災により、実験設備、評価装置が壊れ、実験開始が大幅に遅れたため。
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Strategy for Future Research Activity |
[SWCNTに含まれる不純物および金属成分の除去と電極の検討]調製した高純度かつ高結晶SWCNTには、グラファイトナノ粒子と金属的性質を有するネットワーク構造の異なるSWCNTが混在する。よって、グラファイトナノ粒子については、合成に用いる炭素電極をアモルファス系カーボンに変更し、その除去を検討する。検討には、透過型電子顕微鏡を用いて観察し、その存在量も含めて検討する。後者の、金属的性質を有するカーボンナノチューブの除去は、産業総合研究所の片浦らが報告している方法を用いて行い、分離結果は、レーザーラマン分光法を用いて確認する。得られたSWCNTを薄膜化し、光電流特性、光起電力測定を行い、太陽光発電特性を評価する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
太陽電池を作製するための要素研究の推進と太陽電池の作製を行う。今年度に引き続き、単層カーボンナノチューブに含まれる不純物等の除去や薄膜の作製技術の研究を行いながら、これまで得た研究成果を基にして実際に太陽電池を試作する。そして、I-V特性等の機器測定や機器分析を通して得られた結果を、太陽電池の試作を行い、研究を推進する。主な購入物品としては、無機・有機試薬およびカーボンナノチューブ合成用真空チャンバーの部品、電子顕微鏡観察の際に使用する支持膜、電気特性を測定する際に利用するメーター類などを購入予定である。さらに、本研究で得られた成果を発表するための旅費も計画に含めている。
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Research Products
(2 results)