2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23651083
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
大川 浩作 信州大学, 繊維学部, 准教授 (60291390)
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Keywords | 水生付着生物 / 水生昆虫シルク-セメント / イガイ類接着物質 / 接着物質同定 / 接着機構 / 接着タンパク質遺伝子 |
Research Abstract |
海産無脊椎動物の内、特に淡水性付着性二枚貝であるイガイ類に所属する生物の内、カワヒバリガイ (学名 Limnoperna fortunei) を研究対象に選択した。カワヒバリガイの足組織に含まれる接着物質生合成器官であるフェノール腺を採集し、全mRNAを抽出後、cDNAライブラリを構築した。カワヒバリガイ足組織特的 cDNAライブラリーからクローン 190種以上を選別し、塩基配列解析を行ったところ、海産大型イガイ類の接着物質原料となるタンパク質と高い相同性を持つものをスクリーニングすることに成功した。また、イガイ本体と接着性繊維をつなぎ止めている糸状部分を構成するコラーゲン様タンパク質、また、イガイ類接着物質を凝集固化する役割を持つ酸化酵素であるポリフェノールオキシダーゼと見られる遺伝子も発見することができた。以上の結果から、淡水産イガイ類では、主に、タンパク質分子の等電点が海産イガイよりも中性付近であることが明らかになり、基本的な凝集機構のひとつ物理凝集過程の側面において、淡水環境に適応した分子構造を待つことが示唆された。さらに、幼虫絹糸腺のcDNAライブラリをスクリーニングし、当該付着性繊維タンパク質に含まれるホスホアミノ酸がpSerであることを明らかにした。さらに、およそ300アミノ酸残基の長周期構造を持つタンパク質の遺伝子クローニング手法を有効に行うための分析法についても検討を行った。のこれらの知見は、海産イガイ類接着タンパク質遺伝子のcDNAライブラリ作成および翻訳後修飾様式同定のための基礎研究手法となる。上記の成果により、ミドリイガイ接着タンパク質遺伝子を含むcDNAライブラリー作成、および、翻訳後修飾様式・頻度解析のための手法をほぼ確立することができ、海産および淡水産イガイ類の両方に適用可能な分析手段を得ることができた。
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