2011 Fiscal Year Research-status Report
二酸化炭素を原料とした共重合ポリエステルの微生物合成
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23651085
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
松崎 弘美 熊本県立大学, 環境共生学部, 准教授 (30326491)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 生分解性プラスチック / ポリヒドロキシアルカン酸 |
Research Abstract |
Pseudomonas sp. 61-3由来の低基質特異性のPHA重合酵素(PhaC1)、さらには、重合酵素の基質となる炭素数6以上の3-ヒドロキシアシルCoA(3HA-CoA)を脂肪酸合成経路から供給する3-ヒドロキシアシルACP:CoAトランスフェラーゼ(PhaG)の両遺伝子を導入したR. eutrophaの組換え株を作製し、耐衝撃性に優れた実用的なPHA、すなわち第2モノマー成分として中長鎖長の3-ヒドロキシアルカン酸(3HA)が取り込まれた共重合PHA、P(3HB-co-3HA)を二酸化炭素から合成・生産させることが本研究の目的である。 phaG遺伝子を導入したにもかかわらず、組換え株が合成したPHAのの3HA分率は3 mol%以下であった。そこで、His-PhaGタンパク質発現系を構築し、その発現をウェスタン法で調べたところ、大腸菌では推定分子量と同じ33 kDaのタンパク質として検出されたが、Pseudomonas sp. 61-3およびR. eutrophaでは、45 kDaであった。これは、PHA合成細菌ではPhaGに12 kDaの何らかの物質が結合していることを意味しており、言い換えれば、R. eutrophaにおいても適当な微生物育種を行えば、3HA分率を高めた共重合PHAを合成させることができると予想した。そのため、脂肪酸合成経路の律速酵素であるアセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)を増強してやることで改善を試みることにした。Pseudomonas aeruginosaのゲノムDNAよりACC遺伝子(accA、D、BおよびC)をクローニングし、これらの遺伝子を導入した組換えR. eutrophaを現在作製している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画通りに進めているが、アセチルCoAカルボキシラーゼ遺伝子群をクローニングしたものの、PHA生合成遺伝子群と共発現させる組換えプラスミドが構築できていない。これは、PHA生合成遺伝子群を挿入したプラスミドに適当な制限酵素認識部位がなく、PCRによる部位作製を試みたが、増幅したいDNA領域のGC含量が高く、PCRによるDNAの増幅が困難であったことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
PCRにおけるプライマーの再設計、さらには、難増幅DNA配列でも増幅が可能なPCR酵素が新発売されたことにより、アセチルCoAカルボキシラーゼ遺伝子群とPHA生合成遺伝子群を挿入した組換えプラスミドを構築する目途がたったため、これらの遺伝子を導入したRalstonia eutrophaの新たな組換え株を作製する。この組換え株が合成するPHAのポリエステル鎖中の3HA分率が低いままであった場合は、脂肪酸合成系代謝酵素についても十分検討し、菌株培養における培地成分の検討を行う。 以上、今後も遺伝子工学・代謝工学的手法のみにならず、生化学的、微生物学的、培養工学的手法を屈指しながら、二酸化炭素から実用的な丈夫なPHAの合成を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
遺伝子クローニング、組換えプラスミドの構築、組換え微生物の培養、生産物の分析等を行うことから、遺伝子工学試薬(PCR酵素、制限酵素、遺伝子修飾酵素)、DNAの合成(PCR用のプライマー)、培地、プラスチック器具(滅菌シャーレ、マイクロピペット用チップ)など、そのほとんどを消耗品の購入に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)