2012 Fiscal Year Annual Research Report
イオン注入によるシリコン基板中へのシリサイド量子ドット規則配列格子の作製
Project/Area Number |
23651087
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
坂口 紀史 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70344489)
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Keywords | 量子構造 / ウェハ直接接合 / イオン注入 |
Research Abstract |
本年度は,ウェハ表面に金属薄膜を堆積したのちイオン照射,その後金属薄膜を除去したシリコンウェハの直接接合と,その後のアニールによる接合界面上へのらせん転位ネットワーク形成と,金属元素との反応によるシリサイド析出過程に関する基礎的な検討を実施した. (001)シリコンウェハの自然酸化被膜をフッ酸で除去後、マグネトロンスパッタ蒸着装置で各種金属薄膜を10~20nmの膜厚で堆積した.その後室温でイオン照射し,照射イオンによる弾き出しを利用して金属元素をウェハ内に注入した。照射イオンはタングステン(W)とし,イオンの加速電圧は50kVと設定した.本条件において,金属元素の注入深さ(ピーク位置)はウェハ表面より5nm以内となることをTRIM計算により確認した.続いて,イオン注入したウェハ表面の金属薄膜をエッチングにより除去し,注入面が向かい合うように所定のねじれ角で二枚のウェハを直接接合した.これを窒素雰囲気中,800℃で1時間アニールし,界面においてSi原子同士を直接接合させることで正方格子状のらせん転位ネットワークを形成させた.同時に,強制固溶した金属をらせん転位ネットワーク節点へ偏析させ,転位パターン上に金属・あるいはその化合物を析出させることを試みた. 金属膜としてCuを用いた場合、張り合わせ後の平面ならびに断面(S)TEM観察より,接合界面上に一定間隔でCuが形成されている様子が確認された.しかし,析出物の間隔はらせん転位網間隔に一致せず.ウェハの直接接合前にCuが析出したものと推察された.また,他の金属元素薄膜ではエッチング後の表面荒れのため,直接接合自体が成功しなかった. 以上より、当初予定していた界面上への金属周期構造の析出は達成できなかったが,直接接合を利用した量子構造作製に向けた技術的課題に関する知見を得た.
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