2012 Fiscal Year Annual Research Report
選択吸着を利用した蒸着重合法によるキラル分子薄膜の作製
Project/Area Number |
23651090
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
久保野 敦史 静岡大学, 工学部, 教授 (70234507)
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Keywords | 高分子 / 薄膜 / キラル / 蒸着重合 / 選択吸着 / 配向 |
Research Abstract |
蒸着重合法において、アキラルなモノマーやラセミ体のモノマーからキラル高分子薄膜の作製を試み、実際に得られた薄膜の構造および物性の測定結果から、本手法の適用可能性について検討を行った。ラセミ体のジアミンモノマーを用いたポリアミドにおいて、ヘリックス構造を有することが赤外吸光分析から明らかになり、局所的には、ラセミ体のモノマーから選択的に特定の光学異性体のみが付着・重合していることが示唆された。加えて、アミド結合に特有な水素結合状態が、基板表面や基板温度等の作製条件によって著しく変化することも明らかになり、高次構造制御の可能性が示唆された。 また、水晶振動子式マイクロバランス(QCM)を利用して薄膜成長過程のその場観察を行うことで、吸着・配向に関する基礎パラメータを評価し、データを蓄積することができた。さらに精度を向上させたQCMを用いて、分子層単位での付着・成長挙動(付着量の時間変化)を測定することが可能となった。 選択吸着・配向初期過程のシミュレーション計算に関しては、有機分子の選択性を考慮し、特に初期における吸着・配向過程について、表面の修飾分子による差異を、吸着エネルギーの観点から検討したところ、顕著な表面分子種依存性がみられた。加えて、初期過程における配向現象について検討したところ、基板温度のわずかな違いで吸着挙動のみならず配向様式に大きな変化が見られた。これは、基板表面の修飾によっても大きく変化することが確認された。 以上のように、蒸着重合において基板表面修飾による選択的な配向成長が確認され、キラル高分子薄膜の作製手法となり得ることが示された。
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Research Products
(5 results)