2012 Fiscal Year Research-status Report
フォトクロミック分子系を用いた不斉の発生と増幅システムの構築
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23651092
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
藤木 道也 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (00346313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 剛美 東京工業大学, 生命理工学研究科, 助教 (60334504)
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Keywords | 円偏光 / アゾベンゼン / 散逸構造 / ホモキラリティー / コアセルベート / 高分子 / 凝集体 / 強磁場 |
Research Abstract |
フルオレン環とアゾベンゼンとを主鎖上で共重合させたアキラル高分子(F8AZO)を合成した。1μmサイズの粒子状F8AZOに対してフォトニックスピンの注入と閉込め効果により鏡像対称性の破れが効果的に起こることを実験的に示した。円偏光のみでF8AZO凝集体から非常に強い光学活性の発生、光学活性のラセミ化、光学活性の反転、光学活性の長期保持特性が完全制御できた。比較のため、アゾベンゼン分子単体およびその凝集体に対して円偏光を照射しても光学活性の誘起は認められなかった。またF8AZOを溶解させた希薄溶液に円偏光を照射しても光学活性の誘起は認められなかった。さらに、F8AZO凝集体を静磁場(0.45テスラ)中に置き、未偏光を照射しても光学活性の誘起は認められなかった。物理的不斉源として円偏光の持つスピン特性の重要性を認識し、さらには、F8AZO粒子を分散させる溶媒分子の直鎖・分岐鎖構造および屈折率制御が重要との知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本実験は、(i) 生命ホモキラリティーの起源としてW. A. Bonnerが提唱した円偏光光源説, (ii) A. Oparinが提唱したコアセルベート説、(iii) L. OnsagerやI. Prigoginの非平衡散逸理論、(iv) Optofluidics を概念的に融合させ、質量ゼロ、スピン量子数±h/2πの円偏光でポンピングすることにより、散逸構造として不斉の発生/消去/反転/保持(短期/長期)がAbioticに可能であることを実験室レベルで実証した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度では、円偏光蛍光を発するπ共役高分子凝集体やπ共役分子を内包するポリマービーズを研究対象とし、引きつづき、溶媒分子の直鎖・分岐鎖構造および屈折率制御を行いながら、円偏光のみでπ共役分子からの光学活性の発生、光学活性のラセミ化、光学活性の反転、光学活性の長期保持特性を検討する。今後アキラル低分子系、他のアキラル高分子系に展開し、不斉中心を有する高分子/分子にも展開していきたい。ベンゾインなど光重合触媒を用いて絶対不斉光重合にも展開を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究分担者が平成24年3月に辞退したため研究の進行が少し遅滞している。そのため未使用予算が残った。次年度は、この予算も含め、実験に必要な光学装置光源(高圧キセノンランプ11万円/本(光源寿命500時間)や重水素ランプ(5万円/本(光源寿命1000時間))、分光器パージ用高純度窒素ガス(2万円/月)、分光グレードの高純度溶媒、π共役高分子合成試薬などの購入に充当し、研究の遂行を円滑に行いたい。
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Research Products
(9 results)