2012 Fiscal Year Annual Research Report
ソフト化学的手法による革新的ゼオライト合成ルートの開拓
Project/Area Number |
23651104
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大久保 達也 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40203731)
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Keywords | シロキサン |
Research Abstract |
本研究課題では、かご型シロキサンをビルディングブロックとして用い、それらの3次元配列、連結制御により、温和な条件下、多孔性の結晶性シリカ骨格をボトムアップで構築する革新的なアプローチを開拓することを目的としている。本年度は、二重四員環 (以下D4R) 構造のシロキサン化合物であるH8Si8O12を用い、各種アルコールとの反応によりSi-O-C結合を介して3次元的に配列させた後、加水分解によって有機基を除去し、Si-O-Si骨格を形成する手法について検討した。概要を以下に示す。 1) H8Si8O12と1,3-プロパンジオールをトルエンに溶解し、触媒 (Et2NOH) 存在下、窒素雰囲気中で反応させた。得られたゲルを乾燥して白色粉末状の試料を得た。固体NMR分析の結果、Si-H基とジオールとの反応により、Si-O-C結合が形成されたことがわかった。また、生成物のXRDパターンにおいて低角領域にブロードなピークが見られ、D4Rユニットの配列にある程度の周期性があることが示唆された。この試料を水中に1日浸漬すると、Si-O-C結合の加水分解とジオールの脱離にともなって、新たにSi-O-Si結合が形成され、窒素吸脱着測定より、BET比表面積530 m2/gのミクロ多孔体であることが確認された。 2) H8Si8O12とアダマンタノールを(1)と同様の条件で反応させた結果、結晶性の沈殿が析出し、固体NMR分析の結果、H8Si8O12が8つのアダマンタノール分子で修飾された分子結晶であることがわかった。アルコール、エーテルなどの有機溶媒に不溶であり、また高い熱的安定性(300度以上)など特異な性質を示した。加水分解耐性が高く有機基の除去は困難であったが、非共有結合に基づく新しいタイプの結晶性有機シリカと見なすことができる。
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Research Products
(2 results)