2011 Fiscal Year Research-status Report
バクテリアマイクロコンパートメントを用いた自己組織化タンパク質構造体の創製
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23651106
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
養王田 正文 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50250105)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | バクテリアマイクロコンパートメント / ナノバイオテクノロジー / ナノ構造体 / 超分子構造 |
Research Abstract |
一部の原核生物に存在するバクテリアマイクロコンパートメント(BMC)は、タンパク質のみによって構築された高度に制御されたナノ構造をであり、安定でデザイン性が高く、機能性や自己修復能を有したタンパク質ナノ構造体への応用が期待されている。大腸菌のエタノールアミン代謝マイクロコンパートメント(Eut-BMC)を構成するEut-S,-M,-N,-L,-Kの5つのシェルタンパク質を大腸菌で発現し、EutKに付加したHis-tagを用いてNiキレーティングクロマトグラフィーで複合体を精製した。得られた複合体を透過型電子顕微鏡で観察したところ、1辺が100 nm程度のBMC様の構造体を確認できた。しかし、サブユニットの発現効率が不安定であり、複合体の収率に問題があるため、構造や機能の解析には至っていない。また、Rhodococcus erythropolis N771のゲノムにEncapsulinと呼ばれるナノコンパートメントを形成するタンパク質をコードする遺伝子が存在することを発見し、大腸菌で発現して、Niキレーティングクロマトグラフィーとゲル濾過クロマトグラフィーにより精製した。得られたタンパク質を透過型電子顕微鏡で観察したところ、直径約20 nmの球状粒子を観察することができた。また、フィールドフローフラクショネーション多角度光散乱検出器と沈殿平衡法による超遠心分析による解析を行った結果、分子量1.8 MDa、RMS半径12 nmの粒子であることが確認された。塩基配列から計算した分子量が29 kDaであることから、発現したRhodococcus Encapsulinはホモ60量体でカプセル状の構造を形成していることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
BMCを大腸菌で発現、精製できる可能性を示唆する結果を得ることに成功した。また、Encapsulinと呼ばれる新規なナノ構造体の発現、精製に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
各サブユニットの発現効率及び精製方法を改良することで、Eut-BMCの発現、精製方法を確立し、機能と特性の解析を行う。また、Rhodococcus Encapsulinについては、表面に様々なペプチド配列をDisplayすることにより、何らかの機能性を有するナノ構造体を構築する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Eut-BMC及びRhodococcus Encapsulinの発現系構築及び変異体作成のための試薬や酵素の購入。40万円種々のナノ構造体の精製のための試薬やクロマトグラフィー用担体の購入。40万円機能解析用試薬の購入 20万円成果の発表(学会、論文)30万円
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