2012 Fiscal Year Annual Research Report
Eu添加アパタイト・ナノ結晶に対する抗体固定法探索とがん超早期段階の診断
Project/Area Number |
23651108
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 順三 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (10343831)
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Keywords | 診断 / バイオイメージング / 水酸アパタイト / 発光 / ナノ結晶 |
Research Abstract |
本研究は、生体内・外でがん細胞を効率よく検出するため、生体・細胞親和性および発光効率の高いナノ結晶を創製して、細胞レベルで腫瘍部位を特定するイメージング技術を開発して研究を進めた。具体的には①ユーロピウムイオン(Eu)を添加した水酸アパタイトナノ結晶の合成と欠陥・形態の制御、および ②がん細胞と特異的に結合・取込まれる分子をナノ結晶表面に化学修飾する技術開発に取り組み、超早期予防・診断医療の基本技術を確立した。 平成24年度は、前年度に引き続きEuイオンドープアパタイトナノ結晶(Eu:HAp)の作製条件を検討した。合成温度を80℃として、水酸化カルシウム懸濁液にEu/Caのモル濃度が2.5mol%となるように塩化ユウロピウムを添加し、0.15Mのリン酸水溶液を滴下した。得られた沈殿物はXRDよりHAp単相のEu:HApであり、前年度の室温での合成物よりも結晶性が高いことが明らかとなった。Eu:HApの可視光励起(464nm)による発光は750℃以上の焼成が必要であることを示した。 がん細胞への特異的結合性を付与するため、表面に葉酸分子を化学修飾した。Eu:HAp表面に3-アミノプロピルトリエトキシシランを40℃で反応させてアミノ基を導入した。その後、葉酸とN-ヒドロキシコハク酸イミドを添加したジメチルスルホキシド溶液に分散させ、アミノ基と葉酸のカルボキシル基の脱水縮合反応により葉酸を固定化した。赤外分光スペクトルと示差熱重量分析により、葉酸がEu:HAp表面に共有結合で固定化されていることが明らかとなった。464nmの励起光による発光スペクトルを測定したところ、4f-4f遷移による発光極大波長は葉酸修飾前と同等であった。これらのことから、可視光励起で発光し、がん細胞へ特異的に結合性するナノ結晶材料を作製することができた。がん診断用発光材料としての応用が期待されることを示した。
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