2011 Fiscal Year Research-status Report
リチウム内包水酸化フラーレンの開発によるイオン内包イオン挙動の解明
Project/Area Number |
23651111
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小久保 研 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (20304008)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | フラーレン / 水酸化フラーレン / 内包フラーレン / リチウム / イオン |
Research Abstract |
リチウム内包フラーレンクラスター(C60との混合物、内包率約5%)を用い、過酸化水素法によるポリ水酸化反応を試みたところ、目的とする水溶性リチウム内包水酸化フラーレンの合成に成功した。収率は43%であり、赤外吸収スペクトル、元素分析、熱重量分析により、Li@C60(OH)32・9H2Oなる平均構造であることを明らかにした。リチウム内包フラーレンが空のフラーレンと同様に反応することがわかったため、続いて、次年度に予定していた発煙硫酸法によるポリ水酸化反応も行った。その結果、同様な、しかし水溶性ではなく極性有機溶媒に可溶なリチウム内包水酸化フラーレンの合成に成功し(収率70%)、分析の結果、水酸基数が少ないLi@C60(OH)18・6H2Oなる平均構造であることを明らかにした。さらに、上記Li@C60(OH)18にリチウムカチオンが内包されていることを確認するため、7Li-NMRスペクトルを測定したところ、-15から-19ppmという非常に高磁場な領域に内包リチウムを示すピークが観察された。また、中間生成物の質量分析からも、リチウムを内包したことを示す分子イオンピークが確認された。ICP発光分析にてリチウムイオンの量を定量したところ、内包率は12%であることが判明した。固体ESR測定からは、負電荷が非局在化したラジカルアニオン構造ではなく、内包リチウムカチオンのイオンペアとして、水酸基に負電荷が局在化した構造をとっていると示唆された。そのため、内包リチウムがクーロン引力によりフラーレンπ共役平面により近づき、原料クラスター(-11ppm)よりもさらに高磁場シフトしたNMRシグナルを与えたと考察された。空の水酸化フラーレンとリチウム内包水酸化フラーレンの粒径分布を測定したところ、リチウムを内包することでゼータ電位がより負となり、高極性溶媒中でも高分散する挙動を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
次年度に行う予定であった発煙硫酸法を前倒しで行うことができた。目的とする化合物が合成できた上に、構造同定、物性評価も一通り順調に進行し、現在、論文投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
過酸化水素法を用いて合成したリチウム内包水酸化フラーレンから、内部のリチウムが放出されている実験結果が示唆されている。そこで、水酸基数とその放出割合の関係を調査する。次に、内包率を向上させるため、混合物から内包水酸化フラーレンのみを分離する手法と、内包率100%であるフラーレン塩を原料に用いる手法の二つを検討する。さらに、時間的に余裕があれば、水酸化ナトリウム法との比較や、リチウムを外包させた場合との物性比較、抗酸化能測定などの用途探索への展開を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
原料のリチウム内包フラーレンが高価なため、研究費の多くがその購入に費やされる。残りの研究費にて、必要な試薬・溶媒・ガラス器具などの消耗品を購入する。さらに余裕があれば、成果発表のための旅費に使用する。設備備品費の使用予定はない。
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Research Products
(1 results)