2012 Fiscal Year Annual Research Report
リチウム内包水酸化フラーレンの開発によるイオン内包イオン挙動の解明
Project/Area Number |
23651111
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小久保 研 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (20304008)
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Keywords | フラーレン / 水酸化フラーレン / 内包フラーレン / リチウム / イオン |
Research Abstract |
リチウム内包フラーレンPF6塩を出発とし、発煙硫酸を用いて炭素ケージの外側を水酸化することに成功した。得られた化合物は、IR、NMR、元素分析、UV、FABMS等により同定された。リチウムカチオンが炭素ケージ内に内包されていることは、7Li NMRにおいて内包Liのピークが-17 ppm付近のかなり低磁場に観測されたことから確認された。このスペクトルから、1つの主生成物の他に、異性体の存在を示唆する2つの小さなピークの存在が観測された。同様に1H NMRを測定したところ、通常の水酸化フラーレンではブロードに現れるプロトンシグナルが、シャープに7本観測された。このことは、水酸基数7の水酸化フラーレンが、C1対称ながら位置選択的に生成したことを示唆する。すなわち、リチウムカチオンを内包させたことにより、単一異性体の水酸化フラーレンを選択的に合成できる可能性があることを示した。また、IG法を用いて粒径分布を調べたところ、極性有機溶媒DMSO中において、分子サイズにほぼ等しい約1nm程度の粒子サイズにて分散していることもわかった。 続いてHPLC分析を行ったところ、7Li NMRの結果を支持するように、1つの主生成物と2つの副生成物のピークが観測された。一方で、比較として同条件下でリチウムを内包していないC60(OH)12のHPLC分析も行ったところ、Liが内包されたものとは大きく異なり、多数の異性体から構成されると思われる、ブロードに多数のピークが重なったチャートが得られた。現段階では、発煙硫酸との反応段階において生じるフラーレンカチオン中間体の価数が、リチウムカチオンの電子求引性のためにリチウム内包と空のC60とで異なることがこの位置選択性に影響を及ぼしており、内包フラーレンの場合は1価のカチオンから反応が起こることによって比較的位置選択的に生成物を与えたものと考察される。
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Research Products
(12 results)