2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23651116
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
鯉沼 陸央 熊本大学, 自然科学研究科, 講師 (70284742)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 酸化銀 / ナノシート / 単結晶 |
Research Abstract |
光素子や触媒として有効に作用する金属銀をアスペクト比が大きな層状ナノシートとして作製する前段階として、今年度では、特に、層状酸化銀ナノシートを作製することを目指した。カルボニル基が両端に存在するドデカン二酸を鋳型として、単純な溶液反応によって、ラメラ構造を有する層状酸化銀を作製することができた。また、ドデカン二酸の代わりに、ドデシル硫酸ナトリウムを用いた場合でも層状酸化銀を作製することができた。これらの層状構造は、作製する溶液のpHに強く依存し、酸性側では層状構造が形成されず、金属銀の析出がみられ、一方、塩基性側では、層状構造は形成されるものの、単一層では存在できないことが分かった。これらの作製した層状酸化銀を水中およびアルコール中で超音波処理することにより、厚さがnmスケールで幅が数μmの酸化銀ナノシートを得ることができた。超音波処理を行う溶媒によって、剥離される層の厚さが異なり、水中では2層で、アルコール中ではモノレーヤーとして存在した。この酸化銀ナノシートの構造は、X線回折、原子間力顕微鏡および透過型電子顕微鏡の回折像で評価し、作製された酸化銀ナノシートは六方晶型の単結晶であることが分かった。この剥離溶媒による効果は、層間に存在している界面活性剤の親水性・親油性によってもたらされるものであると考えている。以上の結果は、当初、目標をした層状酸化銀ナノシートの作製に成功したことを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度では、層状金属酸化物および金属酸化物ナノシートの安価で簡便な還元方法を確立し、様々な金属の2次元異方性材料を作製することを目標にしていた。層状金属酸化物と層状金属酸化物ナノシートの作製には、成功することができた。また、作製した層状金属酸化物と層状金属酸化物ナノシートの構造や組成を、電子顕微鏡、原子間力顕微鏡、X線回折、X線光電子分光法などの種々の分析によって、決定することができた。以上の研究により、種々の金属酸化物ナノシートを作製し、その構造・組成を決定することはできた。しかしながら、最終目標である層状金属ナノシートの作製にまでは至っていない点が、研究の達成度をやや遅れていると判断した理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度で実施できなかった金属酸化物ナノシートの還元方法を確立することを初めに実施する。そのためには、電気化学的な手法だけでなく、光や熱を用いた方法も試す予定である。金属酸化物ナノシートを還元し、金属ナノシートを作製することができたら、その物理的・化学的特性を評価し、光学材料や触媒として有効に作用できるよう調整を行う
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記の研究内容に必要な装置・備品は、すでに所有済みか利用可能な状況になっているため、次年度は、研究に必要な試薬や器具を中心に支出するつもりである。また、酸化銀ナノシートを溶液反応のみで作製した結果でも、十分に評価できるないようであるため、研究成果の発表のための旅費を申請している。さらに、金属ナノシートを作製することができれば、大きなインパクトを与えることができるものと思われ、時年度末にその成果を海外で発表する予定である。
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Research Products
(3 results)